「岳羽、今帰ったのか。」
「あ、桐条先輩と真田先輩。」
「後ろの彼女は新入りか?」
「はい。坂田ソラ、私たちと同じクラスに転入してきました。」
「はじめまして、坂田ソラと申します。これからよろしくお願いいたします。」
「桐条美鶴だ。よろしく。」
「俺は真田明彦だ。よろしくな、坂田。」
「よろしくお願いします。」
「じゃあ、この子部屋に案内するので。」
「ああ、頼んだぞ。坂田、今日は疲れただろう。ゆっくり体を休めるといい。」
「おおお…!ありがとうございます!」
「あんた、何感動してんのよ?」
「だって、美鶴先輩綺麗!眩い!目が開けられぬ!」
「あんたねえ…って、あ、有里君?何でついてきてるの?」
「ほんとだ、どうしたの有里くん。」
「坂田さんが迷子になってないか心配で。」
「君の中の私はどんだけ駄目な子なの。」
「ってか、それじゃあ私までちゃんと案内出来ない駄目な子みたいじゃない。」
「岳羽は坂田さんの類稀なる方向音痴度を分かってない。坂田さんならたぶんこの寮内でも遭難する恐れがある。」
「私どんだけ駄目な子なのそれ、最早幼児レベルだよねその心配具合。」
「しかし、有里がそこまで誰かを気に掛けるなんて珍しいな。一体どういう風の吹き回しだ?」
「先輩、取り敢えず一言だけ言っておきますけど、坂田さんに近付いたらかなりの確率で死ぬ恐れがあるので気を付けてください。」
「は…?」
「…明彦、頼むから無闇に坂田に近付くなよ。仕事が増える。」
「美鶴…?しかし、坂田を見ていると何故か妹を思い出すんだ。だからどうも不安でな。坂田、いいか?何か困ったことがあったら俺を頼れ。俺がお前を守ってやる。必ずだ。」
「真田先輩…ありがとうございます。じゃあ、また困ったことがあった時は、ちょっとだけ甘えさせてください。」
「ああ。少しだけとは言わず、大いに頼ってくれればいい。」
「(…不味いぞ岳羽、有里の不機嫌オーラがマックスだ)」
「(うわ、本当だ…。どうしよう、真田先輩空気読めないから逆に羨ましいわ)」

尾けてきてよかった。たぶんこの人が一番僕の恋路の障害になるから。



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