触れるだけで、(メランコリー/頂き物)
03/27 触れるだけで、(メランコリー/頂き物)


イラスト : 蝉 様

ツイッターで仲良くしていただいている蝉様が、バースデーのお祝いにと描いてくださったイラスト。
めろうは喜びと感激と興奮で爆発四散しました。

儚い表情、涙、二人だけの世界、距離、消えていく身体。
それは憎悪と愛情の狭間で傷つけ合う姉弟(ふたり)の成れの果て。

触れるだけで満たされると知ったのは、あなたが消えた後でした。

(イメージはメランコリー第一章アナザーストーリー「彼女が望んだ結末」より。)



……


気が付くと、前を歩く彼女の背中に、触れていた。


「……エンヴィー?」

「……気付いてたのに、」


いつの間にか世界は真っ白で、ここにはただ二人だけが存在していた。


「どうしてこうなったのかな……」


頬に柔らかい温度を感じた。

顔をあげると、すぐ近くに彼女の顔があって


「どうして、泣くの?」


言われて初めて、涙を流していたことに気付く。
ボロボロと零れ落ちる涙は、後から後から溢れ出してきて


だだ彼女の温度に包まれていた。


「……仕方ないよ」


彼女の胸の中で、声を殺して泣いた。


「 それが私たちの、本質だから 」


( あぁ、今やっと、理解したよ )


この目に全て映っていたんだ。

醜い姿も、心の内も。

彼女は知っていたんだ。


( だからあの時、彼女は目を潰したんだ )




( なのに何で、このエンヴィーを受け容れて、 )


( 殺されて、犯されて、それでも )



彼女に触れる。
細く小さな肩を抱き締めると、彼女は静かに身を預けた。



( こんなにも、簡単なことだったのに )



触れるだけ、ただそれだけで満たされたのに。



「 殺されるのも、エンヴィーなら、いいよ 」



彼女の声が優しく響いた。



「 ……殺さないよ 」



彼女の頬に手を添える。
柔らかい髪が指先を掠めた。




「さようなら、ーー」










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