わがまま娘のフュネライユ
目の中の柘榴
炭酸水に浮かんだ硝子
水槽で飼い慣らした夢
羊水で満たされた棺桶
胎児が犯した罪は此処に
薄霧の庭にて幸せに心中
隔離剥離乖離
君の足がいくら速くても獣からは逃げられないよ
水没した砂漠
食い潰された宿主
手鏡を割った娘に贈る聖歌
恋心の螺旋
愛情の羅列
角砂糖による圧力
神様のアイデンティティ
有限を崇拝し永遠を渇望して得たものは
おもちゃ箱の中の怪異
予定調和のふしあわせ
モナド論と目覚めないアリス
エンドルフィンの過剰投与
心臓に氷楔
誤算だらけの確率論
蚯蚓の如き薄桃の頬に
灰色の猫が覗き見たおわり
恋心が秘めるグロテスク性について
咬まれた爪先にナルシズム
その睫毛に愛は幾つ載るだろう
水中花を墓標に
彷徨う目をどうか許して
ばらを孕む
宇宙の成分表を眺めながら貪る星屑
仲良しに半分この染色体
悪気だけは無かったよ
アイディー異常
手中にて盲目
はろー、異物さん
愛では満たされない口腔
脳髄核融合
俯瞰する鴉が落とした歯車
憎まれ口には黄色い飴玉
君が完成に至るまでの過程より
15cmの定規ではあまりにも
曖昧な五分前
海馬盗み
さようなら忌み子
たぶんあなたでしょ、ねえ
とりあえずホルマリン漬けで
堂々巡りの無い物ねだり
恨み妬み僻み、かくも薔薇は美しい
君の鱗を虹に透かしてみたい
繰り返される淘汰
悪臭を放つ『饗宴』
融けた私が青い花を咲かせるのを待ってて
真っ白な林檎をどうぞ
零れて溢れて籠絡するその醜さよ