May


 子供だと口に出して言うほどに実際子供として扱っていたわけではないし、そもそも本当に幼いと思っていたら子供だなんて言葉を頻繁に引っ張り出しはしないのだ。だからこれはほんの戯れであるとかコミュニケーション、あるいは意地だとか、ちょっとしたそんな俺と彼女の間に通じる挨拶のようなものだと思っていたのだけれど、どうやら想像以上に彼女は若く、そして子供ではなかったらしい。子供は早く帰って寝なさい、なんて下手に言うもんじゃあないなと今さら知ったところで遅いのだけれど、本当に遅いのだけれど、もう分かったから降参だと言わせてもらいたい。様子を窺いながら近づいてくる相応の歳の女性をあしらう言葉は身構えなくとも出てくるのに、こういう不意討ちにこれっぽっちも対処できないとは、俺も耄碌したと言ったほうがいいのだろうか。ああ本当に、どうしてくれというのだろう。
「キスしてくれたら、帰りますよ」
にやり、本気かと錯覚してしまいそうな笑みで彼女は唇に弧を描く。清浄なまでに清々しい誘惑に、眩暈がした。

センゴクとリオ



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