▽不可侵なデビル/チハ←アカ

蜂蜜色の茨で編んだ、かごに腰かけて笑っているような人だった。大層きらきら眩しくって、触れて手を切るまで、光だと思っていた。切れた指を唖然と見つめる私を見下ろして、アメジストの目を綺麗に細める。ここまで上ってきなよ、と笑うみたいに。
「おはよう、アカリ」
別に、天使だなんて思っていたわけじゃないけれど。
私は悪魔に恋を、して、しまったんだ。

end

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溺れるナイフの劇中歌だったホームメイドホーム(だっけ)が可愛かったんだ忘れられなんだ。
大好きな悪魔と引き裂かれ王子さまとキスをした、みたいなやつ〜


2017/02/17 23:53 (0)


▽ちっはっひっか
ご無沙汰しております!
思い付きで書きなぐったチハヒカを置きにきました。片恋にアップしようかとも迷ったけどまあそんなんでもないよなと、ここでこっそり…


ファジーな情のないことだけが、精々僕の良いところだったのになぁ、と思う。好きも嫌いも白も黒も、躊躇いなくつけられるから余計な嘘もつかない。優しくはないけれど狡くもないし、胡散臭くもないだろう。君の時間も気持ちも何もかも、僕は一片も欲しがらないから無駄にもさせないよ。それだけは、自分の中の数少ない美点だと思っていたのだけれど。
「チハヤさん、最近私のこと、帰れって言わなくなりましたね」
図星をつかれて、傾けていた紅茶の渋味が増した気がした。じとりと見れば首を傾げて、揺れる無花果色の髪。
手招きもできない、けれど突き放すには決定打がない。白でも黒でもない、雨色の君の存在は、僕の噎せ返るような憂鬱だ。
「……そうだよ、何が悪い?」
答えてみても、とうに形無しで、僕は僕である証明を君といると見失ってしまう。すなわち、世界には必要と不必要だけで切り分けられない関係があることを、嫌というほどに知るのだ。今日も。

(チハヤとヒカリ)

お粗末様でした。また来ます。


2016/03/05 17:45 (0)


▽七周年

タイトルの通りです。七周年ありがとうございますー!
日付が変わって、昔の相互さんに「子供だったらランドセルだよね」って言われて、なんか、うわー!そうかー!ってなりました。

諸々、お返事とか追い付いてなくて申し訳ないのですが、とりあえずできるなら更新が一番のお礼になるかなと思いまして、SSを七周年にちなんで七つ、公開してきました。……なります?多少はなります、よね!?(笑)
ミスミノもありますよ!ていうかつな天婿みんな書きました。初書きの多さよ。お祭りだからなと思って、あまーい目で見てもらえると嬉しいです。
そんで、七話にひとつ足りなかった枠はマリアンさんに埋めてもらいました。あれでいいのかまったく分からないですが…やりたい放題したラストワンに興味のある方はぜひ(笑)

昨日アップしたチハヒカも含めて、七日くらいで全部書きました。ぼくもの漬けだー!
間に合ってよかったです。過ぎても悪いもんではないけど、せっかくなら間に合わせたかったのでね!
まあほんとはこれ、六周年の計画だったから。一年遅れともいうんですけど。

そーんなこんなですが、この通り、元気にはしています。ちょっとやりたいことがあって、なかなかこっちに顔を出せません。でも拍手やコメントやアクセス、みんな励みにさせていただいているので、八年目も見守っていただけたら嬉しいなぁなんて。
近況が気になるぜ!って方は、よかったらツイッターで、お気軽に声かけてくださいまし。@suilen02だよー!0は数字です。

ではでは!
またきます。七周年、楽しんでいただけたら嬉しいです!


2015/12/04 02:00 (0)


▽チハアカ

お久しぶりにチハアカっぽいもの書いたのですが、置き場に迷うのでここに。
ついったーで #単語と色の創作お題 http://t.co/dGxTmXqj9s なるものを作りました。最近はそれを使って自分でSS書いて楽しんでます。
本日のお題がチハアカに似合いそうだったので。

お題:『溢れる』『葡萄色』

 痛みとまでは言わないが治りきらない痣のような違和感がいつもある。正確にはいつも、ではないかもしれない。だけど近頃は気づけば君がいるので、いつも、であることと大差ない気がするのだろう。
「――でね、だから…」
 緩やかに痣を圧迫する、笑声、君と誰かの、目に見えない言葉の絡まり。
 漂う糸がここまで伸びて首を絞めるかのように息苦しい。あーあ、と吐き出したいため息さえ、僕は近頃忘れている。
(だって、ねえ)
 口を開いたら、もっと明確な何かが零れてしまいそうで。そう例えば君の座るテーブルへ行って、楽しそうだねと笑って、あんまり話しすぎないでね、このあと僕と話す約束の、そのための声だよね、だとか。吐き出してしまいそうになる。だから背中を向けている。笑声は密やかに背骨を絡めとり、手元を狂わせた。
「ッ、」
「チハヤ?」
 オレンジを切ったナイフの先が、わずかに皮膚を破る。がたんと席を立つ音がした。血が丸く滲むより早かった。
「アカリ…」
「ちょっと、どうしたの…!切ったの?」
 呆気にとられる僕に構わず、彼女は水を出して、僕の手を掴んだ。沁みるでしょ早く、と言われて初めて、オレンジの果汁の痛みを思い出す。
 そんなものより僕はただ、手首を掴んだ彼女の手と、流れる水を見ている横顔。そればかり見ていた。
(……どうかしてるな)
 ナイフで怪我をしたのなんて、何年ぶりだろう。
「アカリ、もういいよ」
「え?」
「大丈夫」
 薄まって止まる血を眺めながら、その赤さをぼうっと反芻する。鮮やかな葡萄色の、痣が溢れたかと思った。
 心臓は呼吸を取り戻している。何もなかったかのように、僕は笑った。


2015/08/17 13:18 (0)


▽色々

ついったーでやったものなんですけど、140字で色々書いたのでここに出しておきます。
リプライでCP指定してくださった皆さんありがとうございました!

魔法使い×ヒカリorアカリ(どちらとも取れます)
 埋火のような恋に身を染めた。雪の中で孵る蛍のようでもあった。探りあう手と手で指を絡めて、暗がりの中で目を開く。――君以外には何も要らない。だからすべてを明け渡してくれ。そう望むには、少し愛しすぎた。だから「好きだ」と、人間の恋を真似た。

タオ×ヒカリ
 薄氷の彼方に紅色が透ける。ぼやけた点だったそれが、次第に広がってくる。指を伸ばす。爪の先で、氷が罅割れる。降り注ぐ冷たい透明の向こう。
「おはようございます、タオさん」
 紅色の目を細めて、彼女は笑った。悴んだ指に、解けてゆく冬の破片を持って。

タケル×魔女さま
 呪いをかけたでしょう。そう訊いたら、呆けた顔の後で「かけたかも」なんていうから、やっぱりと思った。でなきゃ私がこんなに狂うはずがない。それなのに。
「貴女が僕の恋人になりますように、って、毎日」
「……は?」
「なって、くれそう?」
 逆手に取られたことに気づく、二秒前。

チハヤ×マイ
 つい口が滑った、なんて彼女に対しては久々だった。互いに扱いを心得た仲だ。良くも悪くも泣いたりしない。そう思って少し、気が甘えた。仲直りの仕方も、互いに心得たものだけれど。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲んじゃうぞ!」
 明日は一日、彼女のためのパティシエ。

以上。
今日は寒いですねえ。


2014/12/16 17:05 (0)


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