なんか近い。何故か近い。




あ、まただ。

ふと気付くと目の前にリラのどアップの顔。お互いそんなに低くはない鼻がくっつきそうだ。

なんだか話に熱中するといつのまにやらどちらからともなく顔を近づけてしまうらしい。いや顔だけではなく、気付いたときにはどちらかが相手の肩とか腕を掴んで引き寄せている事がザラにある。
一度なんか無意識にリラの白くて細い首を鷲掴んでいたことがあった。でもなんか息苦しいなと思ったら襟首を捕まれていたこともあるのでお相子か。
いつもそうなっている間は会話に熱中しているので気づかないのだが、話題が一段落してフゥ。と息をついた瞬間にあまりの近さに驚くのだ。

多分傍から見れば引き寄せてキスしようとしているのか、はたまた殴ろうとしているのか、の様に見えるだろう。


この子顔はいいんだよねぇ。

近くにある顔をじっと見る。可愛いというより綺麗な顔立ち、日本人には珍しいくらいの白い肌。今は話に熱中していてほんのり頬がピンク色に染まっている。
うん、充分近距離でも鑑賞に堪える。
そんな風に観察していたら目の前のキレイな形をした眉がキュッ、と寄った。急に黙ったのを訝しんだらしい。

「どうかしたの??」

リラ自身はまだこの近さに気付いていない。

「いやなんでも・・・で何処まで話たんだっけ」

近くなっている時に気付くのは珍しいからこの際ゆっくり鑑賞しようと思ったのに、迂闊にも話している途中のテーマが解らなくなっていた。マズイ気付かれる。

リラは一瞬ますます怪訝そうな顔をしてから、ようやく顔の近さに気付いたのかバッと身を引いてしまった。残念。

「なんか今邪な事考えてなかった??」

「いや全く」

それこそ全く信じていないような目で見られるので仕方なく考えていたことを言ってみた。

「ただこんなに綺麗な顔した子のお腹の中がこーんなに真っ黒いなんて神様って皮肉だよなぁ、って思って」

この顔さえなければ騙される人減るかもしれないのにね、と離れてしまった体温が惜しくなって引き寄せ、頬に手を添えながら言った。

するとリラは頬に手を添えられたまま艶やかに笑んで。

「それは自分に言ってるの??」

と。

うん、流石。これがリラ。



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