お酒
密室事件
(犯人は、この中に?)


髪を切った。街を歩いていて「カットモデルやりませんか?」と声をかけられたから。モデルやるならたいていの場合は無料。か、下手したらバイト代を貰える。ちょっと伸びてきていたしちょうど良かった。


「おっかえりー。あれ?リラ髪切った?」

帰ると何故か自宅に京介が。もう慣れちゃいるが。

「流石に目敏いね。2cmくらいしか変わってないのに」

「女の髪型に敏感なのはモテる男として当然です」

胸を張って言うが、それ誇るトコ?自分でモテるとか事実でも言うかな。


京介が座っていたソファーに腰掛けると、興味深そうに京介が髪を触ってきた。

「こうゆう髪型似合うのは流石だと思うよ。頭ちっちゃいねー。」
大きさを確かめる様に両手で頭を鷲掴まれた。

「リラ最近ずっと髪短めだよねー。伸ばさないの?」

「伸ばすとまた怪奇現象が起こるかもしれないじゃない?」

「あーアレ。驚愕したよな・・・。」
京介が思い出したように頷きながら言う。その、アレとは。


まだ私の髪が長かった頃、京介と出会って間もなかった時の話だ。

その時は、まだ自分そっくりの相手にお互いかなり警戒心を持っていて、何故か気になってお互い関わらずには居られないものの、表面上は当たり障りのない感じに接するという緊張感に満ちた関係だった。

だが、そんなある日。

京介がいきなり「リラの家行ってもいい?」と何気ない感じに言ってきて、迷いはしたが腹を括って了承した。やはりお互いこの辺で正体を晒してみなきゃいけない気がしたのだ。腹の探り合いには疲れてきていた。

だが、家に来た京介が持ってきたのは大量のアルコール類。

「友好を深める為にねー、リラちゃんお酒好きか解らなかったけど、軽いのもあるしー。」と京介は何気ない風にヘラヘラ笑っていた。私は驚いた。コイツ、さては私と同じ事狙ってやがるわね。

私も家にアルコール類を用意していたのだ。目的は、酔わせて相手の口を軽くさせ、腹の探り合いで優位に立つ事。酔ったフリで色を仕掛けられる利点もある事も考慮の上。


流石同じ笑顔を作る人間、似たような事を考える。

「わー、お酒結構好きなの。そんなに強くはないんだけどね。私も今日用意してたんだぁ」

「えー、気ぃ合うねー。俺もそんな自信ある方じゃないから、軽ーく飲もうか。」

表面だけの薄ら寒い会話を交わしながら、目を見てお互い本当は何を考えているか理解している。

へぇ、お酒で嵌めようって事は自信あるんだ?面白いじゃんコイツ。まぁ潰れてから悔しがればいいさ。

ニコニコとじゃー狭いけど入ってー、お邪魔しますー。なんて会話を交わしながらも腹の中は相手を落とし入れる気満々だった。




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