「わかった、じゃあ逆の場合の話をしましょうか」

「ん?」

「私が死にかけてたらの話」

「あー、実際そっちの方がよっぽど有りそう」

「でしょ?」

「うん、車に轢かれたりしただけでサクっと死にそう」

「それは普通に死ぬでしょ」

「え、そう?それじゃなくてもリラベッドから落ちただけで骨折ったりしたんでしょ?」

「昔の話だよ。まぁ私が先に死んだとして、アンタは後は追わないよね」

「断言しちゃう?わからないよ?」

「てゆか私は後追って欲しくないのよ」

「え、俺には生きて欲しいって?感動的ー。」

「死んでまでついてこられたら正直うっとおしいし」

「そっちか」

「アンタは長生きしたところでまともな幸せ手に入れてるとは思えないから悔しくもなんともないし」

「え、なんでそー思うの」

「なぜって、そうね、私が死んだらアンタは私と出会う前の生活に戻るわけだ。女を取っ替え引っ替えしながら適当に生きるの。結果、子供や孫は私の長生きしたバージョンよりよっぽど沢山いそうだけど、家族関係とかガッタガタでしょうね」

「あー・・・」

「アンタは会社継いでお金はあるでしょうけど、家の中とかドッロドロで、妻との関係は冷めきり、息子はグれ、娘は自分の部下いつの間にやらデキてて、そして最期にアンタが死ぬベッドの周りは愛人や子供や孫が十重二十重に囲んで遺産相続の話とかするんでしょうよ。羨める状況じゃないわね」

「うっわリアル・・・想像つく・・・」

「まぁ今も女取っ替え引っ替えは変わらないんだし、結局私がいても一緒なんだけど」

「それは違うよ」

「え、」

「愛人沢山いても、大切にしたい人が一人いるかいないかで最低さは全然違うだろ」

「あ、最低って自覚あったんだ」

「反応するのそっち?
あー、でもここまで言われたら意地でも後追ってやりたくなった」

「やめてよ、私はそんな昼ドラっぽい感じをあの世からニヤニヤ眺めたいのよ」

「いや、追うよ。どーせ地獄落ちっぽいなら一緒のが楽しいよ?」

「なんで私も地獄落ちって決めつけてるの?」

「なんでって、ねぇ?」

「なんか腑に落ちないけど・・・やっぱり後は追わないで生きててよ」

「さっきのリラの妙にリアルな未来予想図のおかげで生きる気力を失ったんだよ」

「しょうがないな。じゃああの世の縁で待ってるからゆっくり来なよ」

「待っててくれるの?」

「確かに地獄じゃ一人よりマシだしね」

「2人なら普通に遊べそうだし」

「隙をみてまた一緒に生まれ変わったりできそうだし」

「ハハ、生まれ変わっても俺と一緒に居たいんだって事?」

「え・・・」

「つまりこの話を要約すると、この世で死に別れたら別に俺が生きて誰と何してようが構わないけど、また生まれ変わったならその時は会いたいって事だったの?」

「・・・そうっぽい。しまった、私も愛を語っちゃったの?」

「なんだ、両想いだね、俺ら」

願いは。






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