top > junk > 銀オフトリップ


 何でも科学で説明してしまうこの世の中でも、不思議な体験をしたことがある人は意外といるものだ。
そしてそれは小さな子供の頃にだけ訪れ、大人になるとそんなことは夢だったかのように、ごくごく普通の人生を送る人が大半らしい。だから今更あんなことが起こるなんて、思ってもみなかったのだ。

 これは、普通に生まれて普通に育ち、そして恐らく普通に終えるはずの私の人生の中の、ほんのちょっとだけ普通じゃないお話。





 久しぶりに見事な晴天の休日、たまには身体を動かそうと近所を適当に散策。長年住み慣れた場所だから迷うことなど有り得ないはずなのに、気付けば見覚えのない景色に囲まれていた。
認めたくはないが、これは迷子以外の何物でもない。それもただの迷子じゃなく、私はとんでもないところに迷い込んでしまったらしい。

「この腕、ちょっと運動不足すぎじゃありませんか」
「筋肉なさすぎ」
「…………ぷにぷに」
「ちょっ、最後一番酷い!」

目の前で私の二の腕を掴み、かつ凝縮している少年達。迷子からのこの展開は意味不明だろうが、経緯は至って単純だ。

 見慣れない街でさ迷い疲れた私は、通りがかった公園で体を休めていた。そこで妙にサッカーの上手い少年達を見つけなんとなく眺めていると、近くまで転がってきたサッカーボール。
心優しい私はそのボールを拾い上げ、爽やかに彼らへと投げ返した、はずだった。

「全く。どうやったらあんな方向に飛ぶんですかねぇ」
「まあこんな腕じゃ仕方ねぇか」
「筋肉はどこいったんだ?」

そしてこの反応である。いくら私が悪いとはいえ、ボールをより遠くに飛ばされてかえって面倒が増えた位で、初対面の相手にここまで言えるものなのか。しかも私は一応大人だというのに、この子達といったら全く物おじしないのだから。

「しょ、しょうがないじゃない! 大人の女性はあんまりスポーツとかしないんだからね!」
「いくら大人の女性でも、普通はもう少しあるでしょう」
「これじゃそのうち普段の生活にまで支障きたすんじゃねぇ?」
「ありうる」

なんて恐ろしいことを言うんだこの子達は。
いっても私は普通体型のはずだ。通勤や買い物以外では滅多に身体を動かさない系女子なんて、他にも沢山いる。うん。大丈夫だ、問題ない。だからそこの三人には、僕達がサッカーを教えながら鍛えてあげるのはどうでしょうとか、丁度チーム抜けて暇もできたしなとか、退屈凌ぎくらいにはなるかとか、そういう不吉な話はやめて貰いたい。
ていうかちょっと待って。君達やっぱりあれでしょう。あの、毎週土曜日の朝九時半からやっている……

「決まりですね。僕は降矢竜持」
「俺が凰壮で」
「虎太だ」
「で、貴女の名前は?」

これは、私も一緒に銀河へキックオフするフラグなのだろうか。

――――――――――

こちらはそのうち続きを書く気バリバリですが、銀オフページを作るかよろずページを作ってぶち込むか悩み中なので、とりあえずここに追いておきます。
銀オフは他にも義姉や幼なじみなど、書きたいものが色々あるので今後も増えそうです^^

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