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気が付くと果てしない蒼が広がる地に立っていた。
足元には陽の光を受けて目が眩むほどに白い砂浜、果てしなく続く水鏡は悠か彼方で天と交わり、まるで終わりなどないかのようだ。鼻先を擽る潮の香に、頭が回転を取り戻し始める。
「………なんで海にいるの?」
いくら考えても解らない。なぜここにいるのか、どうやって来たのかさえも。
何か少しでも情報が欲しくて、周囲に意識を向ければ、微かに聞こえた声。耳を澄ませば今度ははっきりと聞こえる。
「……すけっ……しぬぅーーー!」
声の方向を探れば、水面から小さな黒が見え隠れしているのが見え、慌てて走り出した。
「大丈夫っ!?」
「がはっ、し・しぬがとおもっだ…!」
海水を吐いて必死に酸素を取り込む男の子の顔を間近に見てようやく謎が解ける。
ああ、これは夢なんだ。
夢ならいきなり海にいるのも納得できるし、何が起こっても不思議ではない。
そう、たとえ若返っていたとしても。