top > rkrn > 甘えた

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※現パロ


西陽が差し込み出した放課後の教室で、手元にある紙を睨みながら立ち尽くす。


「困った……。」


ホームルームが終わるなり帰宅や部活のために散ったクラスメイト達は、誰一人残っていない。大半の生徒が帰り始める中、今日は一人で帰るからと、のんびり支度をしていたのがいけなかった。


「おお!苗字が残ってたか!」

瞬間、嫌な予感がしたが、名前を呼ばれてしまっては逃げられないし、のんびりしていたから、用事があると言って断ることもできない。こういうパターンは大抵面倒事を押し付けられるものだが、私は観念して先生に返事をした。


「何でしょうか、先生。」







そうして押し付けられた用事というのが、今手元にあるプリントだ。来週の月曜日が提出期限の課題だが、今日は金曜日。休みの間にやらないといけないのに、運悪く今日休んでしまったクラスメイトがいる。その生徒にプリントを届ける役目を、不運にも私が仰せつかってしまったのだ。新しいクラスになったばかりでまだ慣れていないというのに、話した事もないクラスメイトの家に届け物だなんて、気まずいことこの上ない。しかも、男、だ。


「久々知兵助くん、か。」


朧げにしか思い出せない顔を想像して、プリントと一緒に渡された地図に溜め息をひとつ零した。

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