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名前姉は俺の家の隣に住んでいるご近所さんで、昔から家族ぐるみで仲が良かった。所謂幼なじみというやつだ。

二つ年上の名前姉はきらきらして、それでいて優しい空気を纏っていて、俺はその空気が大好きだった。小さい頃はその空気に触れたくて、包まれたくて、よく名前姉に抱きしめてもらってはなかなか離れたがらなかったのを覚えている。

そんな我が儘をしても名前姉はうんざりした様子も見せず、ずっと笑顔を向けてくれていた。俺はその笑顔も大好きで、忍術学園に入学する時はその笑顔が見れなくなるのが寂しくて寂しくてたまらなかった。

でも長期の休みで帰省する度、名前姉は必ずあの笑顔で迎えてくれる。それだけで嬉しくて、忍術の勉強も頑張ってこれた。今回の帰省も、名前姉は変わらない笑顔で迎えてくれるのだろう。あの、花が咲いたような笑顔で。







「藤内!」

「名前姉!」


家が見えるという距離まで来た時、玄関先で繕い物をしていた名前姉が俺に気付いて手を振った。俺が帰る日にはいつもこうして外で待っているのだ。本人は気を遣わせまいと仕事をしてみせているが、繕い物なんて普段は家の中でやっているのでバレバレだ。また朝から待っていたのであろう名前姉に申し訳なく思い、急いで駆け寄る。


「おかえりなさい、藤内。」

「た、ただいま。」


名前姉は相変わらずあの優しい笑顔で迎えてくれた。そう、名前姉の笑顔は変わらない。なのになんでこんなに胸が苦しくなるんだろう。前は心がぽかぽかして、ひどく安心したじゃないか。なんで、きらきらした名前姉の空気が、前より眩しくて見ていられないんだ?名前姉が変わらないのなら、俺が変わったということだ。でも原因が解らない。

俺は一体、どうしてしまったんだろう。

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