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「ん……。」
寝苦しさを感じて目が覚める。頭の中は未だにぼうっとしていた。
「あ、起きた?」
「……っ!?」
(なんだ、なんで同じクラスの苗字さんが家に!?)
挙動不審な俺に不安そうな顔で覗き込む苗字さん。
「具合はどう?まだふらつく?」
「な、なんで?」
「久々知くん、今日お休みだったから課題持って来たんだけど、倒れちゃって…あのままだと風邪ひどくなっちゃうから……勝手に入ってごめんなさい。」
ということは、苗字さんが俺をここまで運んだということだろう。そういえばここはベッドじゃなくてソファーだ。
「あー…いや、気にしないでいいよ。」
というか、苗字さん一人で俺をリビングまで運んだのか?だとしたら女の子に酷なことをさせてしまった。
「俺のほうこそ、運ばせちゃったみたいでごめん。」
「ううん。それより体の具合は大丈夫?」
「あ…大丈夫…だと思う。」
ぼーっとした頭のまま何も考えずに答えると、苗字さんが軽く眉をしかめた。
「久々知くん顔真っ赤だよ。まだ熱下がってないんじゃない?」
「そ…かな?」
熱のせいか、舌も上手く回らないのがもどかしい。
「うん。久々知くん気がついたから私もう帰るし、ゆっくり休んで、ね?」
そう言いながら立ち上がった苗字さんの腕を、俺は反射的に掴んでいた。
「いかないで。」
「え。」