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3


朝から熱を出してベッドの中に居た俺は、未だ朦朧とする頭に響くインターホンの音で目が覚めた。こんな時に誰だ、と内心舌打ちしながらも、重い身体を引きずりインターホンに出る。


「はい?」


思っていたよりも弱々しい自分の声にびっくりしていると、更に驚く事が待っていた。


「あの、久々知くんと同じクラスの苗字といいます。先生から預かり物を持ってきました。」

(苗字?)


顔だけは知っている、話したことのないクラスメイトの顔を思い浮かべて、首を傾げる。苗字とはあの苗字さんだろうか。他に心当たりはないが、あの苗字さんがうちへ来る心当たりもない。
しかしわざわざ預かり物を持って来てくれたらしい彼女をいつまでも待たせるわけにもいかず、自分の格好を気にしながらもドアを開けた。


「あ、久々知くん。」

「苗字さん?」


外にいたのは本当にクラスメイトの苗字さんだった。


「こんにちは。あの、先生から課題を預かってきたの。」


苗字さんも少し気まずそうにしている。そりゃそうだ。お互い話した事すらないのだから。


「ありがとう。」


苗字さんが差し出したプリントを受け取ろうと、足を踏み出した瞬間だった。


「久々知くんっ!?」


ああ、だめだ。


苗字さんが焦って駆け寄るのを感じながら、意識は遠退いていった。

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