top > rkrn > 黙れなくしてあげる

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※微エロ注意



孫兵の一番はジュンコで、きっとそれと同じくらい他のペット達も大事で、私なんかずっと底辺をさ迷ってるんだって解ってる。それでも、人間の中では誰より彼の近くにいるんだって、彼が一番心を許している人間は自分だって、おこがましくもちっぽけな自信があった。でも、それは私の勘違いだったらしい。



愛蛇のジュンコの新しい寝床を黙々と作り続ける彼の視線を少しでも自分に向けたくて、私はずっと喋っていた。時々相槌は打つものの、一向に振り向いてくれない彼に聞いているのかと問えば、「少し黙って。」の一言。これにはさすがの私も傷付いた。そんなに黙って欲しいなら、ずっと黙っててやる。孫兵とはもう口も聞かない。


暫くして作業が終わったらしい孫兵が、今日初めて私に視線を向けた。急に静かになったね、とかお腹空いてない?とか、ぽつりぽつりと話す彼に首を振るだけで答える。


「ねえ、何で喋らないの。」


これには困った。首を振るだけでは答えきれない質問に内心焦りながら、どうしたものかと視線をさ迷わせる。


「…もしかして、僕が黙れって言ったから?」


都合良く孫兵が察してくれたので頷いたら、もの凄く面倒臭そうな顔をされた。ずっと黙ってろと言ったわけじゃない、そんな事も解らないのと馬鹿にしてくる彼に、私は傷付くを通りこして怒りを覚える。
そんな事解ってるよ。ただあまりにも私を蔑ろにするものだから、当てつけに口を噤んでいるだけ。向こうから謝ってくるまでは、意地でも話してやるもんか。


「あくまで喋らない気?」

「…………」


私の気持ちを、少しは思い知ればいいんだ。そして悪かったって、口をきいて欲しいってお願いしてくるなら、


「ふうん?じゃあ僕が、」

「え?……やっ!?」


突然腕を引かれてバランスを崩した私の身体は、支えを見つける間も無くその場に崩れ落ちた。孫兵の顔が今までにないほど近くにあるというのに、心の臓が早鐘を打つ暇も無く唇が塞がれる。


「んぅっ、まご、あっ…」

組み敷かれて身動きのとれない私が藻掻くのを見下ろす孫兵の顔は酷く妖艶で、自分の中の何かが熱くなるのを感じた。


「黙れなくしてあげる。」


私の身体を下へ下へと這っていく彼の唇が、これ以上黙る事を許してくれなかった。



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相互サイトのこうふく、幸福、降伏。様の20000打記念お題を拝借。アンケートにてリクエストをしたら即反映してくれました。お祝いが用意できなかったので、こちらを代わりに捧げます。小春ちゃん、20000打おめでとう^^

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