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「……………へええ。」

「そんな優しい人がくのたまの、しかも上級生にいたんだね。」


二人の話を聞いたクラスメイト、一年は組の面々は驚いたような、意外なような表情をしながらちらちらと名前の方を窺う。


「たしかに、ちょっと可愛い顔はしてるけどな。」


四年生の先輩だというのにきり丸が失礼な見方をしてしまうのは、彼女がその年齢よりも幼い顔立ちをしているからだろう。そして仕種や表情もあどけなく、上級生という感じはあまりしない。


「何だよきり丸、何か文句あるのか?」


名前について話している間、何度か彼女の事を可愛い、と漏らしていた団蔵(虎若もだが)は口を尖らせて不満そうにきり丸を見る。


「んや、文句はないけどさ、団蔵達がはしゃぐほどかな、と思って。」

「文句あるんじゃないか。きり丸は近くで見てないからわからないんだよ!名字せんぱいが自己紹介して笑った時の顔は本当に可愛かったんだからな!」

「へえー、そうなの、虎若?」


隣で聞いていた兵太夫がそれを一緒に見た虎若に問えば、彼もまた頬を染め、瞳を輝かせて肯定する。

確かに名前は平均よりやや可愛いくらいの平凡な顔立ちだが、笑った時の顔はなかなかに極上で、普通の表情とのギャップに驚くくらいだ。それに加え、彼女の持つ人見知りという面が控え目なはにかみ笑いを作りだし、その大人しい性格も相まって女の子らしい雰囲気を醸し出すのだ。

お転婆で悪戯好きのくのたま達しか見慣れていない忍たまにとってそれは新鮮で、あまり異性に免疫のない最下級生が見惚れてしまうには十分だった。


「ほら、な!」

同意をみせた虎若に自信を持った団蔵が息巻けば、きり丸はわかったわかった、と手を振り宥める。


「わるかったって。別に悪気があったわけじゃねぇんだよ。」


力無くきり丸がそう言えば、団蔵も少しずつ落ち着きを取り戻していった。

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