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2


不自然でない程度に存在感を消して。塹壕も蛸壷もなんのその。下手すると実習授業よりも軽やかな足取りで、目的の場所に辿り着いた。


「たしかいつもこの辺で集まってたはず…あ!」


見知った人物を見つけて、目的地が近付くごとにバクバクいっていた心臓が緩やかになる。


「滝くん。」


滝くんこと平滝夜叉丸くんは、私が普通に話せる数少ない忍たまだ。


「名前?珍しいな、お前がこんなところまで来るとは。」


私を見た滝くんは目を丸くして驚いていた。


「ん。普段なら絶対来ないよ。今日はこれ。」


そう言って抱えていた書類を滝くんに見せる。


「ふむ。体育委員会への届け物か。」

「そう。運悪く先生に捕まっちゃって。他の子もみんな用事があって代われなかったんだ。」


言いながらしゅん、と垂れる私の頭をぽんぽんと撫でてくる滝くんを見上げると、仕方ないな、とでもいいそうな眉を下げた笑顔で私を見下ろしていて。


「ではそれは私から委員長に渡しておこう。」


その言葉に救われた私は思わず滝くんに抱きついてしまっていた。

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