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その日の一年は組は騒がしかった。いつも何かと騒がしいクラスなのだが、ある噂がさらに子供達を騒がせているのだ。
「なあきり丸、昨日お姫様を連れてきたって本当?」
団蔵の質問に興味津々な他の7人も集まりはじめる。皆既に噂を聞いているようだ。
「お姫様じゃなくて名前さんだよ。」
「名前さんっていうの、その人?」
「とぉーーーっても優しいんだよ。」
「それに綺麗だよね。」
「しんべヱと乱太郎も知ってるんだ。そういえば三人とも昨日は遅かったもんね。」
「うん、皆で医務室にいたから。」
次々と質問を飛ばすクラスメイトに、三人は昨日あった出来事と名前についてを話した。
「すっっっっごぉーーい!」
名前に出会った時のこと、名前がどういう人かなど一通り話し終えると、喜三太が目をこれ以上ないくらいに輝かせて感嘆の息を漏らした。
「未来の話、もっとたくさん聞きたいなあ。」
「僕は未来のカラクリを見てみたい!」
他の子供達もそれぞれ驚きと期待に胸躍らせた表情を浮かべている。そんな好奇心旺盛なは組が思い至るのは、当然名前に会ってみたいという事だった。
「よーし!授業が終わったら名前さんに会いにいこう!」
「あ、名前さん午前中は伊作先輩と街に出るって言ってたぜ。」
「「「えぇーーー」」」
きり丸の言葉につまらなさそうに頬を膨らます何名かを学級委員長の庄左ヱ門が宥めた結果、名前には放課後に会いに行くことになった。