1
あちらこちらから響く爆発音に怯えていると、複数の影が目の前に現れた。
「え、何で皆さんがここに?」
先程学園で話した面子に加え、食満と潮江もちゃっかり加わって、五・六年生が全員集結している。
「やはりお前達か。もっと静かに侵入出来ないのか。」
「すみません土井先生。新しく作った焙烙火矢を試してみたくて。」
「今回のは今までのよりアタックしやすかったぞ、仙ちゃん!」
「威力は弱いが、軽量化してあるからな。より遠くまで飛ばせるという寸法だ。」
「またそんな危険な事を…」
仙蔵と小平太の会話を聞いて頭を抱える土井を、まあまあと伊作が宥めている。
「でもさすが土井先生。僕らが総出で来なくても良かったみたいですね。」
「ああ、面接自体は普通の面接だったらしくてな。」
「じゃあ特に戦ったりとかはなかったんですね。」
「それは良かったです。名前も無事だった事だし、さっさと引き上げますか。」
「私まだ暴れ足りないんだが。」
「物騒な事言わないでくれよ小平太。」
土井と六年生は名前を無視して勝手に話し進めている。あまりに当たり前のようにすぎた一連の流れに、名前は頭がついていかずただ眺めるだけだ。
「ほら行くぞ、名前。」
食満に腕を掴まれ、ようやく覚醒した名前は慌てて身体を後ろに退く。
「えっ、ちょっと待って下さい!」
「どうしたの名前ちゃん?」
不思議そうに見つめる伊作と腕を掴んでいた食満の目を交互に見比べながら、それでも意識は全員に向けて言い放つ。
「私、お仕事についての詳しい話をまだ聞いていないので、今すぐには帰れません!」
「お仕事?」
「はい。先程採用決定となりましたので、私はこちらに就職する事にします。」
「「「何ぃぃぃ!?」」」
「ちょっと土井先生!?」
「さっきからこの調子なんだ。」
どういう事だと視線を投げ掛ける伊作に、土井は困ったように肩を竦めた。
「名前、悪い事は言わないからドクタケ城はやめておいたほうが…」
「そうだよ。職探しならまた僕達が付き合ってあげるから今回は、」
今まで黙っていた竹谷と雷蔵も、これには流石に止めに入るが、もう意地になっている名前は聞く耳持たない。
「私はここに残って説明を聞いていきますので、どうぞ皆さんお先に帰って…」
言葉が最後まで紡がれる前に名前の身体は地に向かって沈んでいった。