01-1

ギィ、と音をたてて屋上へと続く錆び付いた扉を開ければ

風が緩く吹いて頬を優しく撫でた。

太陽の光が眩しくて思わず目を細める。

清々しいくらいに晴れた今日は気温も高くて

時々吹く風が気持ちよくて

日向ぼっこをするにはうってつけの気候だ。


片手に持った弁当の袋をフラフラと揺らしながら

授業中にもかかわらずメールを送ってきたりおを探す。

(いた…)

見つけたと思ったら

彼女は鞄を枕にして気持ち良さそうに寝ていた。

こいつ授業サボってやがったな、と思いながら

ゆっくりと音をたてないように隣に腰を下ろして

どうしたものか、と悩んだ。

無防備に寝やがって、と小さく呟いて

胡座をかいた上に肩肘を着いてボーッとりおを見た。

相変わらず綺麗に手入れされた黒髪を広げて

小さく開いた口が少し間抜けで少し笑える。

そよそよと吹いた風に目の上で切り揃えられた前髪がふわりと揺れて

それに無意識に手を伸ばし指で軽く鋤いた。

髪がさらさらと指の間からすり抜けていく。

「おい、りお」

小さい声で名前を呼んだ。

「飯食わねぇのか」

コンクリートに広がる髪に指を絡ませて遊びながら、もう一度「りお」。

返事どころか深く眠っているのか目覚める気配すらない。

人を誘っておいてこいつ…と思ったりもするが

それが怒りに変わらないのはこいつだからか。

惚れた弱味?そんなんじゃない。

…いや、若干は入ってるだろうが、一人暮らしの彼女が

ときどき朝方近くまでバイトをしてるのを俺は知っているし

きっと昨日はバイトがあって疲れているんだろう。

そんな中、わざわざメールを送ってきてくれたと思うと嬉しくて

気持ちが自然と舞い上がって愛しさが込み上げてくる。

屋上には俺とりおだけ。

気付けば体を前のめりにして彼女の額にキスをしていた。


一度目のキスは
  寝ているきみの額に


(どんな小さな事でも愛しい)


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