ゆきえがお

隣から温もりが消えたと思って

目を開けたら

寝てる筈のりおがいなかった。

トイレか?と寝返りをうって隣の部屋を見れば

窓を開けて外を眺めてるりおがいた。

風邪引くだろ、と体をゆっくり起こして

タオルケットを羽織り

小さく欠伸をしながらりおの方へ寄っていく。

すると何を思ったのか

りおは窓から身をのりだし上半身を外に出した。

俺は慌ててタオルケットを放って

がばり、と後ろからりおごと抱き寄せれば

ビクッと体を震わせて

「びっくりした」と目をパチパチと瞬かせた。

「どうした?」

「雪がね、降ってると思って」

「だからって窓から身をのりだすな」

あぶねーだろ、と続ければ

触りたかったんだもん、と

拗ねた顔に思わず安堵した。

身をのりだした理由が

いつもの好奇心が強い彼女の

雪に対する興味で良かった。

「ね、外行こ?」

「今からか?」

壁にかけた時計は午前5時。

いつもなら布団の中で二人ぬくぬくと寝てる時間だが

さっきの出来事で眠気も吹っ飛んだし

「足跡残しに行こう?」

きっと私達が一番よ、と笑うりおに負けて

「着替えるか」

「ふふ、ありがとうシズ」

片手で窓を閉めて

放ったタオルケットに二人くるまれながら

寝室へと着替えに向かった。





( 振り返れば

 雪に残る俺とりお二人分の足跡)



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