運命に逆らって

あぁ、辛い。

何が?って言われれば

全てが、だ。

私は攘夷浪士を纏める頭

彼は真選組の副長

敵対同士なのに出会った私たちは

恋に落ちて、おちて、おち、て…

きっと、いや絶対

こんな私たちの関係を

誰一人として認めはしないだろう。

だから何度彼の事を嫌いになって別れを告げ

元のあるべき立場同士の関係に戻そうと思ったことか…

なのに、抜け出せないのは

今、私の腰に回る彼の腕が優しくて

香る煙草の匂いが、あまりにも優しいから

「土方様、誰か来てしまったら…」

「大丈夫だ」

時折、人通りの滅多にない裏路地で出会った時

「会いたかった」

そう言って、優しく口付けてくれるから。

それに私も、と返せば

彼は、嬉しそうに目を細めてまた私に口付ける。

幸福の時とは、きっとこういう時の事を言うのだろう。

あぁ、でも

そんな時間は長く続かない。

私とあなたは敵同士なのだから。


あなたを嫌いになれたら、どんなに幸せでしょうか。
    考えるだけで、幸せと不幸が一度に押し寄せます。



ああ、ほら

遠くから同士達の声が、彼の仲間の声が

もう、一緒にはいられない。


(私と一緒に)
(俺と一緒に)
((死んでくれませんか?))

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