甘い沈黙

温かい陽が窓から入ってくる。

陽の当たる場所で

私は、小説を読んで

銀ちゃんは、ジャンプを読んで

のんびりと時間を過ごしていた。

神楽ちゃんも新八君も外出していて

いつもは騒がしい万事屋も

今は私と銀ちゃんの

本をめくる紙の擦れる音しかしない。

しかし、そんな静かな時間も彼によって終わる。

それは、本の終盤のちょうど面白い場面がやってきた時だ。

私の膝の上にフサフサした銀髪がのる。

私は、それを無視してページをペラペラとめくる。

銀ちゃんは私の髪を一束手にとって

「なぁ、なまえ」といつもより少し低い声で話す。

「なーに?」

「ちょっと、膝貸してくんね?」

銀さん眠くなっちゃった。と

クルクル指に私の髪を絡ませながら言った。

「もう頭のってけてるじゃない」

本を床に置いて真下にある銀髪を撫でる。

「でも、嫌じゃないでしょ?」

「ふふ、そうね」

おやすみ、そう私がいうと

銀ちゃんもおやすみ、と言って目を閉じた。

暫くすると、膝の上で小さく寝息が聞こえてきた。

私はまた本を手にとって続きを読み出す。

静かな万事屋に

本のページをめくる音と

愛しい人の小さな寝息だけが聞こえた。



甘ったるい沈黙


[ 9/10 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -