08
桜の匂いのする入浴剤を入れた。
透明だったお湯がピンク色に代わり
桜の香りがほんのりと風呂場に充満する。
後ろからなまえを抱き締めて湯船に浸かっていると
「良い匂い」とお湯を手で掬いながら彼女は言った。
「気に入ってもらえてよかった」
「ありがとう、臨也」
そう言ってなまえは少しだけ体をよじり振り向いて
チュ、と可愛らしい音をたてて俺の頬にキスをした。
「いつも、たくさんいろんな物を見せてくれて有り難う」
−臨也は私だけのサンタさんね
ニッコリと愛らしい笑顔に
口許の筋肉が緩んでいく。
「俺がなまえのサンタなら、なまえは俺のサンタさんだね」
少しだけ湿った前髪にキスをして顔を合わせれば
互いに自然と笑顔になった。
「ね、なまえ」
「ん?」
「キスしていい??」
魅惑の髪に口付けを [ 42/45 ][*prev] [next#]
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