08


桜の匂いのする入浴剤を入れた。

透明だったお湯がピンク色に代わり

桜の香りがほんのりと風呂場に充満する。

後ろからなまえを抱き締めて湯船に浸かっていると

「良い匂い」とお湯を手で掬いながら彼女は言った。

「気に入ってもらえてよかった」

「ありがとう、臨也」

そう言ってなまえは少しだけ体をよじり振り向いて

チュ、と可愛らしい音をたてて俺の頬にキスをした。

「いつも、たくさんいろんな物を見せてくれて有り難う」

−臨也は私だけのサンタさんね

ニッコリと愛らしい笑顔に

口許の筋肉が緩んでいく。

「俺がなまえのサンタなら、なまえは俺のサンタさんだね」

少しだけ湿った前髪にキスをして顔を合わせれば

互いに自然と笑顔になった。

「ね、なまえ」

「ん?」

「キスしていい??」


惑の髪に口付けを

   

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