01

仕事帰りに路地裏で全く面識の無い人…

謂わばチンピラに喧嘩を売られた。

別に喧嘩を売られるような事を

日常ではしていないから

きっと臨也さん柄みの人だろう、と

思っていたら案の定その通りで

チンピラはナイフを出して

私に向かって振り上げた。

途端、右目に鋭い痛みが走る。

何が起こったか分からなかった私は

とにかく右目を両手で押さえてその場に膝を着いた。

そんな私の様子を見たチンピラは

鼻で笑い「ざまーみろ」と言ってその場から立ち去った。

ああ痛い、痛い痛い、痛い痛い痛い!!

あまりの痛みに変な汗が出てきて

慌てて家へと走った。

家に着けば音を立てないように寝室に入って

ドアを閉め、救急箱を取り出して

ベッドに凭れながら手当てをする。

消毒してガーゼを当てて眼帯をつけ

一息ついた私は頭をベッドにのせた。

(ああ、痛い。)

(でも、これで暫くは…愛してくれる)

未だ感じる右目の痛みに

静かに深く息を吸い込んで吐き出した。

怪我をする事は私にとっては日常ではあったけれど

流石に顔を怪我するのは初めてで

傷が残るかも…何て思いながら

ソッと左目を閉じた。

ぐるぐると考えていると


― ガチャリ


ドアノブが回される音がした。

ゆっくり目を開ければ部屋の入り口に

「ねぇ、その傷どうしたの?」

臨也さんが私の姿を見て微笑んでいた。

「目蓋を切りました」

右目に眼帯を付けた私に

臨也さんは近寄って

視線を合わすように膝をつき

優しく私の左頬に手を添える。

「へー、誰にやられたの?」

小首を傾げて問うてきた臨也さんに

「知らない人」と私が答えると

そっか、と目を細めて

私の頭をそっと撫でてくれる臨也さん。

「なまえを傷付けるなんて許せないね」

ギュッと腰と肩に腕を回されて抱き締められた。

「うん…」

「一体、何処のどいつだろうね?」

「ね、なまえ」と耳元で名前を呼ぶ臨也さんの声。

喜びに全身が震えた。

(ああ、どうしよう嬉しい!)

今、彼が私に構ってくれて

今、彼が私を見ていてくれて

今、彼が私の事を考えてくれている。

そう思うだけで

怪我をした部分の痛みなんて感じなくなる。

何とも言えない幸福感が溢れてくる。

ああ、幸せ、幸せだ。

「新羅に手当てしてもらったの?」

「いいえ、自分で」

「そう、偉いね」

でも念の為に後で診てもらおうね、と

抱き締められたまま

優しい手付きで頭を撫でられる。

それが、私に酷く安堵させて

気持ちよくて思わず左目を閉じた。

すると、優しくキスを落とされた。

「怖かった?」

額に1つ。

「怖かった」

左目に1つ。

「死ぬかも、なんて思った?」

鼻の頭に1つ。

「思いました」

左頬に1つ。

「誰の顔が浮かんだ?」

頬を両手で包んで赤色の瞳が私を見つめた。

「臨也さ…ぅん」

彼の質問に答えようとして唇を塞がれた。

徐々に角度を変えて

深くなっていくキスに

臨也さんのシャツをギュッと握った。


傷の数だけ君に愛を

(ああ、なんて滑稽で愛しい彼女)
(その傷の数が彼女から俺への愛の証)


※意味が分からん/(^p^)\
 名前変換少ない…
 いろいろとごめんなさい…!

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