03
救急車と擦れ違ってからどうやって家に着いたかは覚えていない。
気付いたらマンションの前にいて
鍵を開けるのももどかしく
靴も脱がずに土足のまま家にあがって「なまえ!」と名前を呼んだ。
けれど返事は無く一層気持ちが焦る。
まだ寝ていて返事が無いのかと自分の部屋に入ってベッドを確認するも姿はなく
「なまえ、どこにいる!」
結局、家中を探し回ったけれど彼女の姿はなかった。
外出をする事がないため彼女の靴は元より家には無い。
なまえが家にいないとしたなら外にいるのだろう。
素足のままきっと外に出たに違いない…
「くそっ…!」
ガンッと足元にあったゴミ箱を蹴って家を出た。
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