12月24日 世間一般にいうクリスマスでもあり、俺と土方の愛のメモリーを更新する大切な一日でもある。 なのに 「なんでお前がいんのおおお!?」 「うっさいアル」 二人きりの聖なる夜、もとい性なる夜は呆気なく砕け散った。 何故かと言えば、毎回お世話になってるお妙が商店街の福引きが当たったとかで新八を連れて温泉旅行に行ってしまったからだ。いいな俺も土方と温泉でしっぽりしたいなとか思ったりもしたが無論俺にそんな甲斐性は無い。 そして涙ながらに土方に電話して神楽が万事屋にいる趣旨を伝えた訳だが、土方は大して気にした様子もなく、そうか、と一言告げると仕事が忙しいとかで電話を切ってしまった。 これが俗に言う倦怠期なのだろうか。 俺は三人分(主に俺と神楽)のホールケーキを作りながら隣で涎を垂らしている神楽に苦笑してそのピンク色の頭を撫でた。 * カン、カンと階段を上がる音がして俺が台所から出るより先に少しだけおめかしした神楽が玄関に走っていった。 今日着ているワンピースは俺が神楽に欲しい欲しいとせがまれたもので、クリスマスプレゼントとして買わされたそれを神楽は嬉しそうに身につけていて俺も満更でもなかったりする。 「トシちゃん!」 「おうチャイナ、今日は随分可愛い格好してんな」 入ってくるなり抱きついてきた神楽に土方は銜えていた煙草を携帯灰皿で消して受け止めた。 神楽を見るなりニヤニヤと口元を緩めながら面白そうに俺を見る土方に俺は目を逸らし唇を尖らせる。 「…なんだよ」 「愛娘、てか?大変だなお父さん」 「うるせ!」 そういう土方だって神楽は目に入れても痛くない存在だ。 万事屋に足を運ぶ度に大量のマヨネーズと共に菓子を買い込むのは神楽が喜ぶ顔がみたいからだろう。自他共に認める甘党の恋人をがいるというのに、だ。 少し、いやかなりジェラシーを感じるが嬉しそうに菓子を食う神楽を見つめる土方の顔は穏やかで、俺はそれを見て和むのが日課になってるので何も言えなかったりする。 「トシちゃん!可愛いアルか!?」 「おう、よく似合ってる」 土方の前でくるくると回り、新しいワンピースを披露している神楽の頭を撫でた土方は持っていた小さな袋を差し出した。 「ほら、これ」 「……え?でも…」 ちらりと俺の顔を伺う神楽に俺は苦笑する。 家では遠慮のえの字も無い癖に随分殊勝な態度じゃないか。 「ガキがいっちょ前に遠慮してんじゃねーつの。貰えるもんは貰っとけ」 「ああ、まあ気に入るかどうかは分からねーけどな」 「…で土方君、俺には?」 「ねーよ」 「…ひどい!」 嘆きながら土方に抱き付く俺を土方は離そうとはせずに放置している。 神楽は貰った袋を慎重に開けると中から出てきたものに目を輝かせた。 「髪飾り!」 「おうおう可愛いじゃねーの。神楽ぁ…片っぽ銀さんに頂戴」 「子供にたかるな!」 「えー、俺もプレゼント欲しいー」 首に腕を回してぶうぶうと文句を垂れる俺の耳に形のいい唇がそっと近づいた。 「お前には…俺を、やるから」 吐息と共に囁かれた言葉にバッと顔を上げる。耳まで真っ赤になった土方に口を開こうとした俺の言葉は俺たちの可愛い愛娘にかき消された。 「トシちゃん!付けて付けて!」 「あ、ああ…じゃあ部屋行こうな」 スルリと俺の腕を抜けて神楽に腕を引かれ居間に消えていく顔は未だに真っ赤に染まっていて、俺は笑みをかみ殺し二人を追っかけた。 * 結局不器用な土方に髪飾りを付けるなんてことが出来る筈もなく、結い慣れている俺がやってやる羽目になった。 終わった後にありがとう銀ちゃん、なんて笑顔で言われれば俺も満更でもなくて、大概甘いなぁなんて苦笑しながら料理の準備を始めた。 「今年のはまたえらいデカさだな」 「神楽がいるからな」 「…例のもの、持ってきたぞ」 「まじでか」 ゆっくりと大きな紙袋を差し出す土方からそれを受け取り、サッと隠すと何も無かったかのようにケーキ作りを再開した。 「…ちゃんとミニスカサンタにしただろうな?」 「するかボケ!」 「え、ミニスカサンタじゃないの?お前には俺をやるってアレは嘘だったの!?」 「ばばばばかやろう!声がでかい!」 「お前の声のがでかいと思います」 俺の冷静なツッコミに顔を真っ赤にしてムッと睨みつけてくる土方の少しだけ膨らんだ頬に手をやり、唇を近づける。 「銀ちゃーん、ケーキまだアルかー?」 突然現れた神楽に俺たちはあと少しで触れそうだった唇を瞬時に離した。 「…!!」 「か、神楽ちゃーん!?もう少し待ってなさいいい子だからあっちでもう少し待ってなさい!ね?ねっ!?」 「ちゅうしないアルか?」 「見てたんかいいい!おま、そこは見逃せや!ちゅうさせてよ!はい土方、もっかい…ちゅうー」 「…ッ…するか!早く作りやがれ!」 さっきまでノリノリだった土方は羞恥にすっかりご機嫌斜めで、一緒に大富豪しようと言う神楽に手を引かれて居間に消えてしまった。 「ロンリィーハート…」 つーか二人で大富豪って無理があるだろ。大貧民か大富豪しかいねーじゃん、とか強がってみる。 俺も大富豪やりたいです、神楽ちゃん。 * 結局二人きりの大富豪は神楽が大富豪で土方が大貧民だったらしい。 居間に戻ると神楽の馬となり床を這いつくばる土方がいて、やっぱり大富豪やらなくて良かったと思った。 「はいはい神楽ちゃーん?土方に乗っていいのは俺だけだから。ついでに土方が乗っていいのも俺だけだからね〜」 「銀ちゃんはトシちゃんのお馬さんアルか?」 「うーん、愛のお馬さんかな☆」 「お前ほんと馬鹿な、しね」 神楽の下で顔を真っ赤にする土方ににやにやと笑いかけながら出来上がったでっかいホールケーキを慎重にテーブルに置く。 そのケーキを目にした途端にきらきらと目を輝かせて土方から降りた神楽に苦笑して蝋燭に火をつけた。 「なんで三本アルか?」 「んー?銀さんと土方がお付き合い始めたのが三年前の今日だったからだよ」 「記念日ネ!おめでとう!」 嬉しそうに笑って土方にしがみつく神楽に土方は照れくさそうに笑ってありがとう、と微笑んだ。 「ちょっと神楽ちゃん?そこ銀さんの特等席なんだけど?」 「銀ちゃんはオッサンだからトシちゃんの後ろで十分ネ」 「せめてお父さんって言ってくれる?あ、ちなみに土方がお母さんね」 「…しね」 そう言う土方の頬はうっすらピンク色に染まっていて、満更でもなさそうだ。 俺は土方に抱き付いた神楽ごとその愛しい身体を抱き締めた。 着流しから露出した首筋に鼻を埋め肺一杯に息を吸い込めば、土方の匂いがして、今年もこの日を一緒に祝えたことの喜びで胸が一杯になる。 土方は煙草とマヨネーズを異常摂取している癖にとてもいい匂いがする。不思議だ。 香水じゃないし、石鹸とも少し違う。 こんなこと言ったら怒られるだろうけど、白くてすべすべした柔らかい肌からは赤ちゃんの匂いがする。 赤ちゃんの匂いなんて本当は良く分からないけれど、ミルクみたいな匂いがするのだ。甘くて、とても安心する香り。 「……火、消して?」 耳元で囁けばビクッと震えて軽く髪の毛を引っ張られる。 二人で火を吹き消せば明かりの消えた部屋は真っ暗になって、神楽が電気を付けに立ったのを確認した俺はその耳元に唇を近づけた。 「大好き、あいしてる」 唇に触れそうな程近くにある耳が熱くなっていくのを感じた俺は堪えきれない笑みを零して唇を離した。 「あー!トシちゃん真っ赤アル!」 「ぅ、や…これは、違うぞ?違うんだからな?」 「何が違うのトシちゃーん?」 「お前がトシちゃん言うな!」 振り向いた顔は茹で蛸みたいに真っ赤で、羞恥に潤んだ瞳に己の姿を確認した瞬間に唇を奪っていた。 「…んっ」 反射的に目を瞑った土方に俺はすぐに唇を離し、怒られる前に小さくごめんと謝った。 「お、おおお…おま…!」 「生ちゅうカッケー!ずるいアル銀ちゃん!」 「ちょ、この唇は銀さんのだからね?舐めても吸ってもしゃぶってもいいのも銀さんだけだからね?」 「…っ…しね!」 本日三回目の愛ある死ねが聞けて大満足の俺は羞恥から若干涙目で膝を抱えて丸くなってしまった土方を神楽と二人であやしつつ、特大ケーキを食べた。 その内神楽ははしゃぎ疲れて眠ってしまい、俺たちは神楽が熟睡してるのを確認すると例のものを取りに台所へ向かった。 「ちょ、まじでミニスカサンタじゃないんだ…?」 「しつけーよ!」 「しかもなんで俺トナカイ!?今日は騎乗位が良いって言う意思表示ですかコノヤロー!」 「うるせぇぇえ!」 「お前がうるせぇぇえ!」 何とかサンタとトナカイに扮した俺たちはお互いの姿を目にして大笑いしながらそっと神楽の寝ているソファーに近づいた。 「なあ、これ別に着替えなくても良かったんじゃね?」 「……ムードってもんがあるだろ」 「お前はもっと銀さんとのムードを考えるべきだと思う」 ノリノリで髭までつけている土方をジトっと睨みつけるが土方はどこ吹く風で袋から可愛らしく包装されたでっかい箱を取り出した。 つーか俺たちプレゼントあげすぎじゃね。うちの子が我が儘に育ったらどうすんの。 「このへんでいいか?」 「ツリーの下らへんに置いとけば?なんかサンタっぽいだろ」 「馬鹿やろう!サンタは煙突から来るんだぞ?お前んちは煙突が無いからサンタが来ないんだ!だから俺たちがこうしてサンタの代わりになってだな…」 「は、え?…何言ってんの土方くん?」 「サンタの話だろ?」 え、なにこの子。 サンタが煙突から来るってなに。なんのお話お伽話? つまりなんだ。家には煙突がないからサンタが来ないと、そう言いたいのだろうか。 ていうか、もしかして土方くんは、 サンタを信じている? 「土方くん、サンタってどういう人?」 「太ってて気前のいい優しいおじさんだろ?あの丸い身体でよく見つからずにプレゼント置きに来れるよな!」 すげぇよな、と目を輝かせる土方くんに俺は微笑み返すことしか出来なかった。 ああもうなにこの子あほの子なのかな食べちゃいたい。 俺は土方の顔を覆う白い髭をべりっと勢いよく剥がし台所へ直行した。 「ちょ、なんなんだよ痛てぇな」 いきなり剥がされてひりひりと痛む頬を擦る土方の唇をべろりと舐める。 瞬時に硬直した身体を抱き締めて耳朶を唇に含めば敏感な身体がビクリと震えた。 「ぅ、や!」 「ちょっと赤くなっちゃったな」 ぐいぐいと押し返してくる腕を掴み一纏めにし、少しだけ赤い跡のついた柔らかい頬に口付ける。 「ここからは大人の時間、な?」 吐息と共に囁けばムッと上目に睨みつけていた瞳が逸らされて、観念したと言うように身体の力を抜いた。 「ん、ふぅ…ん、ぢゅ…は、ぁ」 ずっと触れたくて仕方なかった唇に吸い付き、尖らせた舌先で歯列をなぞれば自然と開く唇の間から舌を滑り込ませ逃げようとする舌を絡めとる。 ぢゅううっと音がする程に吸い付けばビクリと震え、酸欠でがくりと折れた膝の間に足を入れて支えてやった。 「…は、ぁ…あ、ゃん…!」 「なーに?可愛い声上げちゃって」 「ゃ、あし…揺ら、すな!」 土方の両足の間に割り込ませた足をガクガクと揺さぶってやれば俺のやたらもこもこした服を握る手にぎゅっと力が入り、白く染まる。 太ももに当たる縮みあがった固い感触に笑みを浮かべて足の速度を上げてやれば白い喉が晒された。 「やぁ!ぁ、んん!」 「土方の凄いよ、たっぷたぷ。随分溜め込んでたんじゃない?」 「ふ、ゃ…ちがぁ…!」 「違うの?こんなに重いのに?」 「…ひっ!…はうぅぅぅん!」 太ももはそのままに手で縮み上がった睾丸を揉みしだいてやれば堪らないというように細腰が揺れる。 ガクガクと震える足は俺の太ももが無ければ今にも崩れ落ちてしまいそうで、しかしそれが自ら睾丸を押し付ける形になってしまっている。俺にとっては楽しい悪循環だ。 「は、はぁ…」 「出したい?」 「ん、」 「何を出したいの?」 睾丸を弄っているだけでは決定的な刺激にはならない。もどかしい快感にコクコクと頷く土方の顔を覗き込み、意地悪く問い掛ければうるっとした瞳で唇を噛み俯いてしまった。 「ひーじかた?ほら、言ってごらん?」 「…ゃ、…!」 「嫌じゃねぇだろ?ここから何がでるの?」 「…ひぁ!…う、うぅ…」 勃ち上がり赤いサンタ服の上からも形を露わにするペニスの先端をグリグリとほじくると土方は両手で顔を覆って首を振った。 「仕方ねぇなぁ、今日は特別な日だから許してあげる。その代わり、しゃぶって?」 トナカイ衣装の股間部から既に臨戦態勢の息子を取り出す。 茶色くてほわほわした布から飛び出た己の赤黒い愚息は何ともグロテスクで、その情けない格好にに思わず苦笑してしまう。 「…んぅ…ちゅ…」 土方は言われた通り、床に足を付き俺のペニスを咥えた。 * 土方のフェラは可愛い。 最初は全体にちゅっちゅっと軽くキスをして、それから先端を舌先でちろちろと舐める。そして躊躇いがちに亀頭を咥内に含み、ちゅうちゅうと吸いながら竿を扱く。 舐めながら勝手に自分のペニスをいじり始めると口が疎かになりだして、俺の勃ち上がったペニスに鼻先を擦りつけ頬摺りしながら達するのだ。 「…んぶ、ちゅ…ふぁ…!」 竿に両手を添えて先端に吸い付いている土方のズボンと下着を足で下ろし、露わになったペニスを足先でツゥーと撫でると、土方はビクッと震え閉じた瞳の端から涙を零した。 逃げようとする腰を窘めるように足先で亀頭をグリグリと刺激すれば咥えていられなくなった肉厚な唇から俺のペニスがこぼれ出る。 「…ひゃあ!…ん、あうう!」 すりすりと竿に頬摺りしながら時折ちゅうっと吸い付く土方は壮絶に可愛くて、直接的な快感は余りないものの、視覚からの刺激だけで俺のペニスは爆発寸前だった。 「…く、…もう…出る!」 「んっ、…あ、ぁ…ひゃうぅぅ…!」 さらさらと触り心地のいい髪を掴み、黒い髪とピンクに染まった頬、赤い唇を白く染め上げた。 同時に足の裏全体を土方のペニスに押し当てガクガクと揺さぶれば、俺のペニスをきゅっと握りながら土方が達する。 「あー、気持ちかった」 「…ぅえ、うぅぅー」 「こら、目に入っちゃうから擦らないの」 俺の精液で目が開けられずにゴシゴシと擦る土方の手を止めて、脱いであった着流しの裾で拭ってやる。 「んぷっ、ぅう…」 「目ェ開けていいよ?」 「ん、」 ゆっくりと開いた瞼の奥はゆらゆらと揺れていて、俺は心底不機嫌そうなその顔に笑いかけて目尻にキスを落とした。 「下も拭いてあげるから横になりな」 「……拭いてくれなんて頼んでないんですが」 「ほお?そういうこと言っちゃう?」 「ちょ、やめ…乗るな!」 「あ、今日は騎乗位希望だったっけ?」 「ちっげぇぇぇ!」 「え、なに?ちんげ?ちんげがどうした?」 「……もうやだお前。頼むから死んでくれ」 ガタンッ、 突然聞こえた物音に振り返る。 くたりと横になった土方に乗っかり上半身を覆い隠す赤い衣装に付いた大きな白いボタンに手を掛けたところだった俺は身動き出来ずにいた。 「…ッ…!!」 「か、神楽?」 ごしごしと目を擦りぼぉっと俺たちを見ている神楽に俺と土方は微動だに出来ずに固まる。 「サンタさんがトナカイに襲われてるアル」 「…………」 「トナカイがサンタさんを襲ってるアル」 最早言い訳のしようがない状態だ。 俺と土方はお互いに下半身丸出しで、しかも所々に白いねちゃねちゃした液体が付着している始末。土方は青い顔して今にも泣きそうに眉を垂らしている。 どうするか考えている暇なんてない。 「き、君は!い、いい子の神楽ちゃんじゃないか!」 突然話し出した俺に土方は呆気に取られたように俺を見つめた。 「これは君の夢なんだ!とってもいい子にしか見れない夢なんだよ!?そしてこれはサンタさんと僕がとっても仲良しな証拠なのさ!」 「まじでか!サンタさんはトナカイとごっさ仲良しだったアルな!」 「え…あ、ああ…」 我に返った土方の服をグイッと引っ張り、俺たちは頬をくっ付けながら乾いた笑みを浮かべた。 「分かったらさっさとお休み…!じゃないとサンタさんは君の元へプレゼントを届けてくれないかも知れないよ?ね、サンタさん!?」 「そ、そうだぞ!トナカイさんもここへは運んでくれないかも知れないなぁ…!ね、トナカイさん!?」 若干やけくそになっている俺たちに全く気付いていない様子の神楽は目を輝かせ、分かったアル、と勢いよくソファーにダイブした。 ああ、あいつが馬鹿でよかった。 * 「銀ちゃん!トシちゃん!」 布団で仲良く眠っている俺たちの上へドスンと乗っかってきた神楽に俺と土方は内臓破裂寸前の呻き声を上げる。 「朝っぱらからなんですかコノヤロー…」 「…うぅ…」 「見て見て!サンタさんがプレゼントくれたヨ!」 喜々としてでっかい箱を見せつけてくる神楽に俺は適当に、土方は笑顔で良かったなとピンク色の頭を撫でた。 「中身は何だったんだ?」 「傘ネ!めっさ可愛いアル!」 取り出した傘を開いたり閉じたりを繰り返し、とっても嬉しそうな様子の神楽に俺と土方はこっそり顔を見合わせて笑った。 「あ、そう言えば昨日変な夢みたアル」 しかしほのぼのとした空気は一瞬にして南極の如く凍りつく。 「へ、へぇー…」 「トナカイがサンタさんを襲ってたネ!」 「ばっかお前!それは仲良い証拠だってきの…………うごぶ!」 「…チッ…で、どうしたんだ?」 「?いい子にしか見れない夢だって言ってたヨ!」 「そうか、チャイナがいい子だったから見れたんだな」 「うん!」 嬉しそうに頷く神楽に微笑みかけながら土方の拳が俺の腹にめり込む。それはもうさっき破裂しかけた内蔵を押し潰さんとするような勢いでだ。 「あの、土方く……」 「チャイナ、折角だから今日はどっか出掛けるか?」 「いいアルか!?」 「ああ、」 「え、ちょ…銀さんとの甘い一日は?てか昨日のつづ………くぎゅ!」 「…さてじゃあ準備するか」 布団から這い出た土方に顔を踏みつけられながら、俺は涙で枕を濡らした。 「やっぱり倦怠期なのかな…」 「ふん、安定期の間違いだろ…」 「……土方ラブ!!」 ぎゅううと抱きつけば土方は赤い顔でやっぱり死ねって言ったけど離そうとはしなかった。 大体そんな顔して死ねなんて言ったって愛してるにしか聞こえねーよ。 「……しね!」 あれ、俺声に出てた?それともテレパシーかな。 「だから、愛してるんでしょ?」 「ああもう!やっぱりしね!」 「はいはい、俺もあいしてるよ。ところで土方君、今日は三人で遊園地行こっか?すげー混んでるんだろうけど」 「あ?どうした急に?」 不審気に俺の顔を覗き込む土方の髪を撫でると土方は気持ちよさそうに目を細めた。 「んー、昼は好きなだけ貸してあげようかと思って」 「はあ?」 「俺はお前も神楽も同じくらい大切だけど、それでも今日は特別な日だから。だから夜は覚悟してねマイスイートハニィ?」 「……お前、ほんとばかな」 土方はもう死ねって言わなかった。 (だからお願いピンクエンジェル、聖なる夜が終わりを告げるその前に) end |