なんてこったい
「上玉持ち帰ってきたと思や、とんだ見掛け倒しだな。」
『なんすかそれ!分かりましたよケツ出してくださいケツ。』
ここで引いたら男が廃るってもんでしょう!
この際性欲処理に男も女も関係ない。と、思いこめ俺…!穴は穴だ…そう、バックなら何とかなるはずだ!(自己暗示)
ただ欲を出せば男の喘ぎ声なんて聞きたくないなぁ…耳栓持参で、バックオンリーで、下処理とかはぜんぶしてきてほしいな…
睨みをきかせても尚、笑顔が貼り付いてる政宗サマ。
その姿を目にして俺のココロに沸き上がるものは紛れもなく、さっきも感じた加虐心だ。
「テメェ…政宗様に何て口利いてやがる。」
『口挟まないでくれますか、こじゅさん。』
「こっ…(こじゅ…?!)」
忠犬こじゅろーさんがご主人様をお守りすべく威嚇をしている。
俺は売られた喧嘩を買っただけだ!
主従関係って酷く理不尽だ!
「良いねぇ、その目…夜這いに来たら相手してやるぜ。Honey?」
『ヤですよ、誰が望んで男の尻なんか。
しかもハニーとかやめてください、ぞわぞわする』
「おい小十郎!コイツの寝部屋は俺と同室でいい。」
『スルースキルぱねえ!』
全ての決定権が自分にあるからってフル活用しやがって!
すっかり気が抜けて煮え上がってた感情は何処かに行ってしまった。
むしろ俺はおかしくなっちゃったみたいで、こうやって政宗さんと言い合ってんのが楽しくなってきてる。
だって全てのものが新鮮に映るから、明日は何が待ってるだろうとか子供じみた感情に捕われてばっかりだ。
だがしかし、いくら新鮮でも未知との遭遇はしたくない。冗談か本気か知れないが、今夜は気を付けよう…
『政宗さん。』
「何だ?」
『…ありがとー、ございます。』
こんな幸せ久しぶりで、俺が幸せだよって彼にも分かって欲しくって、
感情が動かすままの笑顔を向けた。
「礼は身体で、」
『謹んでお断り申し上げます。』
「仕方ねえな…口だけでいい。」
『妥協してるつもりのとこ悪いですけど絶対やりませんよ。』
「ケチ。」
『何とでも。』
こんな小綺麗な顔しといてなぜ俺を誘う…ま、まさか真性のホモ?!!
…応援はするよ。差別はしない。
でも協力はしない、ゼッタイニダ。
『あ、小十郎さんにもお礼言わなくちゃ』
「ちょっと待て。」
立ち上がろうところで腕を引っ張るものだから、不恰好にも尻餅をついてしまった。
先刻の乗馬で負傷した俺の尻には十分過ぎるダメージだぜ…!
俺が痛みに表情を歪めているのを余所に、後ろから抱き込む政宗さん。
男同士でこんな構図になって誰が得をするというのだろう。そしてそっと耳を甘噛みするんじゃねえチクショー。
「お前…さっきみたいな顔、他の奴に見せるなよ。」
尻の痛みに耐えている顔がそんなに醜かったんだろうか。わざわざ忠告するほど醜かったんだろうか。
俺としては痛みに顔を歪めてもそこそこイケメンだと思うんだけど、この戦国時代はそんなに甘くないって事か。
『しませんよ。政宗さんがそうさせたんでしょ』
不貞腐れた声でそう伝えた俺とは裏腹に、なぜだかとても嬉しそうに彼が表情を綻ばせる。
なぜそんなにイイ笑顔を…
いまさっきの尻餅で晒した醜態より小十郎さんの馬に乗って絶叫してたときのほうが余程見苦しいツラだったことは伝えないでおこう。
「白いうなじ、しゃぶりつきたくなる。」
『勘弁してください!』
「据え膳食わぬは男の恥だ。」
『男のうなじを舐める方が恥です!!』
悪魔クン…どうせちんちんもぐなら、こーいう節操のないヒトのにすべきだと思うよ。
初対面の俺にこの有り様ってことは顔見知りならもう出会った瞬間挨拶がわりにえっちしてるでしょ?!
最っ低ねッッ!!!
(かくいう俺もセフレの子が家に来たら瞬間ベッドインでした)
『…政宗さん。』
「何だい、Honey?」
『硬いモノが当たってます。』
押し具合いから悟るにかなりの質量。
認めたくないが、確実に俺のよりデカい。
ミスマッチだろ…!
だったら何か?こじゅさんはピンクのつるつるですか?
『ぶふっ…!』
「俺の逸物がんなに嬉しいのか?」
『ちが、ぶっ…!だはははは!!』
「…品がねーなぁ。」
『こ、こじゅさんが‥‥ピンクの、つるつる…っぶは!』
言い終えると同時に、政宗さんが固まった。
そして俺も、固まった。
なんてこったい。
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