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初対面で耳を舐める会
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「いつまで掴まってる。」





馬の走りは颯爽とかいうレベルじゃない、あの不安定さからくる恐怖はジェットコースターを裕に超える。
落ちたら確実に命はない。


必死こいて小十郎の腰にしがみついてたら苦しいの何だのと腕の力を弛めるよう促されて、マジいっぱいいっぱいな俺には鋭すぎる一言で。

いちいち聞き入れていられる余裕がなかったのでシカトしました。
自分の身が可愛いです!!



『ぐあ!ちんこ痺れた。』

「使いモンにならなくなっちまえ。
行くぞ、シャンとしろ!」



嗚呼、無情…

数々の衝撃破によるダメージでぴりぴりしてるおちんちんを気遣う俺は、いまきっとオカマみたいな歩き方をしている。
武士は逸物まで鍛えてるんだね…アッパレだよ…



あああ腫れたらどうしよう!

腫れてる間に濃姫が現れてえっちできる機会に出会したら、おおお俺はどうしたらいいんだあああ!!!

(自分の妄想もここまで暴走するとちょっと怖いかな。)












そうこう落胆している間にいつの間にやら殿様の御前にございます!




目前にふんぞり返ってんのは生身の独眼竜、伊達政宗。

男の俺でも思わず息を飲むくらい端正につくられている顔。
この顔があれば百戦錬磨だろーなぁ…いやいや俺もまだ負けナシなんだけどね!?ふんだ!





あれ、なんだろうこの人の顔…物凄い加虐心を煽るなぁ。
人を小馬鹿にするような生意気な目線も、不敵に釣り上げてるその口端も…泣かせてみたっととととと…!?

なななに考えてんだ俺は。
男をハイヒールでぐにぐにして鞭でピシピシする趣味はないっつーの。危ない危ない、筆頭フェロモン危ない…!

シャンとしろって言われたろう!
油断すると斬られるぞ俺!






「お前が苗字名前か。」

『お初にお目にかかります。奥州筆頭、伊達政宗様』

「話は小十郎から聞いてるぜ?なんでも未来から来たらしいな」

『左様にございます。』




舌が攣りそう。

お侍さんごっこを素でやってのけられる良い機会だと思って変な喋り方してみたけど、咄嗟に言葉を組み立てらんないから話すの躊躇ってるみたいだし…言葉遣い合ってんのかもわからんし…

お遊びにしちゃ度が過ぎたよ!
思えば命懸けのお遊びだよバカァ!






「小十郎がつれて来る位だ、信頼できる奴に違いねえだろうよ。」

『て、ことは…?』

「好きなだけ此処に居ろ。」

『ヤダーーいい男〜!』




もーみんないい奴すぎだよ!

感謝の気持ちがもう土砂崩れ並に溢れ出してきて、安堵もあいまって感情任せに目の前の城主サマに抱きついてしまう。

すると“You're welcome”と耳の裏っ側をべろりと舐められ、一斉に全身の毛が総立ちした。






『きっきききんもーー!えっっきもっ、えっ!』

「Monkey?」

『きき気持ち悪いって意味です…!』




恐ろしやああぁ!!

途端に身を離した俺は、舐められた耳を守るように両手で覆い隠す。
コイツはなかなかに節操ないみたいだな…!そういえば戦国のお偉いサンはホモも嗜むみたいなの聞いたことあるようなないような。






えっ…しかも何この空気。

明らか悪戯されたの俺なのにこっちが悪いみたいな目線向けてきやがって。特に片倉さん。


ハッ…(^-^)


もしかして耳を舐めるのって伊達軍恒例の儀式的なものだったの…?!またはこの時代の意思疎通法?!!
俺が拒絶したから敵視されちゃってんのか…!





『あの…続けてください…』

「OKey,いい覚悟だ。」




伊達政宗はどうにもやらしい笑顔を浮かべると、また耳を一舐めして縁を甘噛みする。

ほ、ほんとにコレが儀式なのか…?この人が耳フェチなだけとかじゃないよな?!





女中さんも軍兵さんも小十郎も揃って凝視しやがって…すげー恥ずかしい!公開プレイさながらだよ泣きそう!

しかも小十郎さんまだ睨んでるし!
なんでなの!最高に嫌がってんの顔に出てんのかな出すなって方がムリだよ初対面で耳舐められて喜ぶフリとか出来ないよォ!!







『―――っ、ぐ…』

「耳だけでイイのか?…まさか小十郎に喰われた後じゃねえだろうな。」

『喰われ…?もしかしてコレ儀式ではないんです?!』

「…Can't something be worked out? おい小十郎、コイツは阿呆か?」(何とかしてくれ)

「この小十郎も、そう察しております。」





すいません凄く失礼だと思うんですけど。

俺あくまで初対面ですよ!何しに会う人会う人にアホとか言われなきゃなんないのかな!
察しておりますじゃねーよ!




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