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森の妖精さん
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森が果てしないです。

もう歩きたくない足痛い全然楽しくない。最早ホームシックに近い感情が芽生えつつある。

遠足とかならまだ友達とキャイキャイ出来るから良いけど、ひとりぼっちなんて寂しくてしんじゃう。
めげちゃいたいヨー足いたいヨー




『もーなにここ樹海?!』



青々とした森全体を見回してもそんな危っかしい感じも邪悪な感じもしないけど、無垢な子供ほど怖いじゃん。笑顔でちんちん引っ張りやがるからね。あぁ過去の記憶がまざまざと甦る…ふふ…

もう純粋なものには騙されないぞ!
この森は俺をのたれ死にさせる気だなそうに違いないな… なんて奴だ!





「おい。」

『何だよ、俺は死んでなんてやらないからな。』

「抵抗しなけりゃ殺しやしねえよ。」







森が…話してる…


神秘だ…俺は森と意思疎通ができるようになったのか…!やばい、アンノーンの力を授かった。マジめざめるパワー。

説明しよう!
アンノーンとゆうのはポ○ットモンスター略してポ○モンな訳で、めざめるパワーは奴が発する技の名前だ!








「こっち向け。」

『なにどっち?妖精さん的になってんの?』

「あ゙あん?」

『ちょっ、柄悪いヨ…』


声の主は木々たちではなくどうも生き物みたいに存在してるようなので、俺は辺りをキョロキョロ。

前方にはおりませんでありますー!

では振り返りまして後方をキョロキョ…‥






―――…妖精、さん?







『あ、あの、おつとめご苦労様です…』




妖精さんの正体は…








「テメェ…どうやら斬られてえようだな。」





こじゅでした。

ご存知、片倉小十郎さんです。なんか青筋たって顔がカタギじゃないんだけど俺はどうしたらいいんだろう。

俺の全細胞がビービー警報音を鳴らしてる。けど、いかんせん殺気にやられてか身体が動かないときたもんだ。
いや違うホラ俺さっきまで歩き回って凄い疲れてるの!そうなの!





待てよ、これ逃げなかったら斬られるのでは。余裕ぶっこいて分析とかしちゃってる場合じゃないのでは?!

ああああアテンションザービー!!!??







『どどどどちら様ですか?!』



ここはシラを切り通すに限る。

俺は何にも知らないなーんも知りません!こじゅが森の精霊さんだったなんて全くもって知りませんから!!!





「お前にそれを知る必要はねえ。どうせ今から死ぬんだ、冥土の土産にもならねえだろうよ」



ひえ〜〜!
最初からクライマックスですかーー!!



『――…っあのさぁ!!何で俺が初対面のアンタに殺されなきゃならないんですか!
そこ、退けてくれますか。自分忙しいんで!忙しいんで!!』




大切な部分ですので二回言いました。
始まった瞬間ゲームオーバーなんて冗談じゃないわよ!

それにしてもなぜこの妖精さんはこんなに怒っているのだろう。この森が立入禁止的な場所なのか、それとも森で妖精活動してたのがバレて照れ隠しギレを起こしているのか。







「この俺相手に吠えるたァ、威勢が良いのか阿呆なのか… 忍にしちゃ軟弱だが、そのイカレた鎧に何隠してやがる。」




おいヒトの私服をイカレた鎧ってテメー!

でも洋服見慣れなさすぎて動揺してるのおもろいな… ここでランニングマンとか踊ったらめちゃくちゃ怯えるのかな。(非常に見たいけど命を大事に)






「そもそもそいつは鎧か? 奇っ怪すぎて理解が及ばねえ… まさかとは思うが、南蛮人じゃあねえだろうな。」

『な、なんばん?…マイナンバーなら憶えてないです。』




そんなハイテクなもので通行許可してんのかよ現代より進んでるじゃねーの…!

驚愕に目をまるめる俺の顔を見てるこじゅは、なぜかひどく神妙な… 気のせいだと思いたいけど蔑むような目線を向けてきている。




「まいなんばぁ…? 異国の言葉か?」

『ざ、ザッツライト! 』

「………。」




親指をビッと立てて意思表示。

なぜ英語で返したかというと、言葉が通じないと分かれば外国人だと思って助けてもらえるんじゃないかという安易な考えのもとである。





「どこの国の言葉だ。」

『え、英語…英ってことはイギリス?イギリス語?でもアメリカも使う、し…』

「…………。」





さっきから彼の沈黙が多い。

こっちが必死で言葉を返してるのに、話せば話すほど目線が冷ややかになってるような気がする。












「最後だ…

どっから来た。」






一番答えにくい質問だ。

本当のことを言っても信じてもらえる可能性は極めて低い。ましてや堅物片倉小十郎だなんて俺も運がない。

でも言い逃れができる可能性もイマイチ見出せないし、俺の言語や格好からして全部暴露しちゃっても良いんじゃないかなんて楽観ぶりに惚れ惚れします。








『俺は、未来からきました。』




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