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「#エロ」のBL小説を読む
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『‥‥降ろせ。』

「お、恥ずかしいかい?」

『野郎同士でお姫さま抱っこときたら、羞恥以前にプライドめった切りだわ。降ろせ!』




馬に乗るより居心地が悪い。
掴まるに掴まれない微妙な浮遊感やめてくださいお恥ずかしながら車酔いとか激しいんで…

それにしても第一印象がかなり宜しくないよ前田慶次。

いきなり会話の途中に出現して、太夫だしとてつもなく多忙であろう里さんとの約束事を目の前でドタした挙句、終いにはお姫さま抱っこで見知らぬ茶屋へ俺を誘拐するとは。いや、誘い込まれてもいないからほぼほぼ拉致といってもいい。




「よっ、と…」




えらく慎重に、まるで壊れ物を扱うみたいに俺の身体が降ろされる。

あーあ里さんカワイソ。あんなべっぴんに目もくれないほど慶次ってモテんのかな…

なんだなんだ、根っからのいい奴かと思ってたのに蓋を開けたら俺と同じ人種か!いや俺は目の前でダブルブッキングとか死んでもしないし、俺のがマシ!!





「まぁまぁ、座ろうぜ。」

『ホァッ( *'ω'* )
やーん、超かわいい!おいでおいで!』



慶次の肩からひょこりと顔をだすお猿さん。
なんだっけか…夢、‥夢蔵?まぁ可愛いから名前などなんでもよし!

おいでませ、夢なんちゃら!
この胸に飛び込んでらっしゃい!

そんな思いを込めて招くように両手を前に広げて時折手を叩くと、




『あれおかしいな。』




なぜか慶次が腕の中に。

キミなんなの?甘えたなの?俺ってば何気に甘やかすの大好きよ?

長い髪が風にふわりと靡き、流れてきた香りが予想外に甘く優しかったから、何だか慶次まで可愛く感じちゃってそのまま抱き締めたりして。
人気の少ない茶屋だし、誰も見てないし。







『ンー、いい匂いする。女の残り香かな』

「アンタの中での俺は遊び人なのか?」

『そだよ、俺とおんなじ人種。』

「心外だねぇ…俺は存外純情なんだぜ?
にしても、その容姿で遊び人って…



‥‥衆道?」





テメー^^


恐ろしいことに最近女の子とめっきりヤってなくてい上に男とチョメってみたりなんかして、本気でガチホモになりそうで怯えまくってんのに追い打ちかコノヤロー!

軽口ばっか叩きやがってオラァ!俺が開き直ったらバックヴァージン失ったと思えやァッ!!





『俺がそっちの世界の人間だったら、抱き込まれてるお前はどーするの。』

「一発ヤっとく!」

『その考えはなかったー!男女見境ナシか質悪いな、離れて!いますぐ!』



本能のまま咄嗟に身を離す。

軽やかに一発ヤるとか怖い!
衆道はお前じゃないか、とんだ濡れ衣だ!





「酷えなぁ、人を見る目はあるつもりだぜ?」

『邪な目だろ。』

「うーん…アンタを見てるときは違いないかもね。」

『ヒィ!下心宣言いらない!』




この世界絶対おかしい!
悪魔くんは操作してないってゆってたけど、俺は今まで決して野郎にご好評はいただいていなかった。

なんなの、俺の何がいけないの?!結構コイツに不躾な態度とってる自覚あるよ俺!そこがいいの??刺激的なの?






「アンタ、名前は何てんだい?」

『何かすげー今更だね。
俺は名前と申しますよ。』

「名前か…良い名だね。てっきり苗字のある家の生まれかと思ったんだけど…」

『あるっちゃあるよ、偉かないが。』



やっと椅子に腰を下ろしたら、恐らくタイミング窺っていたんだろう女の子がお茶を運んできてくれた。

なかなか可愛い子なんだけどー!
でもダメ俺いま多代ちゃん(駄菓子屋のおばあちゃん)にメロキュン中なんだよほんと可愛くて困ってんだからぁ…!

野郎に付き合うなら多代ちゃんと仲良くまったり店番したかったなぁ…






『ありがとー。』

「いえ…あの、慶次さま…お久しゅう御座います。」

「久し振りだな。元気にしてたか?」

「はい。慶次さまがいらっしゃるの、心待ちにしておりました…」





え、なにこの空気、不快。

この娘ラブオーラ解き放ってんぞ、頬染めてんぞ。慶次さまは衆道だって教えてやろーか、たったいま地味に口説かれてたんだぞ俺は。

なんなのこの時代の女の子はガッチリ派ですか頼れる殿方がモテるんですか。ソフトマッチョよりムキムキゴリマッチョ派ですか。(まぁ俺はソフト程もないけどな!)


取り敢えずこの状況… 解せぬ。






『妬ける。』




組んだ足を土台に肘をついた腕で顎を支えながら、心底妬ましげに睨みつける。

そっちから誘ってきたんだから女と勝手に盛り上がるとか有り得ないと思いまーす。
ていうかお前なにしに連れてきたの?もしかしてモテるの自慢したいが為??だからこのお茶屋にしたの?




「あれっ、嫉妬?」

『そうだっつってんでしょ。何その笑顔、馬鹿にしてんの』

「す、すみません…あの、私…失礼しますっ。」




ぺこんっと勢いよく頭を下げて、そそくさ立ち去る女の子…って、あれれー?
なんで謝るの?逃げてくあたり恥ずかしくてとかじゃないよね、おかしいよね?!

ふと横を見たら、にやにやしてるポニーテール野郎が一名…不快だ!!!







「嫉妬してくれるたァ…可愛いねえ!」





お 前 じ ゃ ね え よ !!!!



勘違い甚だしい。俺をガチホモだと思ってやがるなテメー!

そしてなぜ女の子まで勘違いした?!
サイッコーに不愉快なんだけどォ!



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