おなかいっぱいサナダ虫
『あの、政宗さん。』
「SEXのときに会話ってのは野暮だぜ。」
『お馬鹿さん、世の中には言葉責めっっていう素敵なプレイがあるんですよ。いいから黙って聞けください』
一度口唇を合わせ、もう一度、もう一度と無心に互いのそれを求め合う最中に俺が横槍をいれた。
取り敢えず俺の息子さんが勃たない限りは、下になってやる他はない。
でも余興を愉しめば愉しむほどに、焦りも一抹の恐怖も浮かんできちゃう訳で…早々に余裕がないのね。
『おれ、ケツ切れてんす。痛いんす』
「Oh…そりゃ災難だな。
具合い診てやるよ、ちぃとケツ出せ」
『‥‥‥出せと言われても、ですね。』
さっさとしろって目線が訴えてくるから、まず布団から出た。褌外しにくいからそっから立ち上がって着流しに手を突っ込んだら
「そいつも脱げ。」
とかって裾引っ張られて。
上目遣いがとっても愛らしかったのでまぁ従いますと、帯外しーの着流し脱ぎーの褌外しーのすっぽんぽんであります。
『あんま見んでください。木の実がなります』
「どーいう原理してやがんだテメーは。オラ、四つん這いでこっちに尻突き出せ。」
『なっ、出来るかバカ!!このバカッ!!!!』
「出来る。You can do it!」
『いやいや励まされても無理ですから!I can flyみたいな言葉ですそれ!』
四つん這いで尻ぷりーんとか生きてけないよ!直腸検査だと言われようが、年頃のチャラさ真っ盛りの男の子にそれはキツいよ!!
ホモって大変だったんだな…ある意味感心に値する。そして俺には無理だということが判明した。
と宣言しようとした矢先に政宗さんが立ち上がり、ぐるんと身体が回転させられたかと思えば、さらに上体を押されて前に倒れ込み、
結果おれは言われたまんまの格好であるのだよね…しくしく
「真っ赤だな…少し腫れてる。」
『ボラ○ノールないすか。』
「ぼら…?生憎痔に効く薬はねえぜ、唾でも塗っとけ。」
まさか、と思えば案の定おれのアナルを政宗さんが躊躇いなく舐めた。舐めた!!!ヒィィ!傷口に染みるし、なにより擽ったくて下半身がヒクヒクするよぉ!
その恥ずかしさときたら本当に半端なくて、穴があれば今すぐ埋まりたい。
あ、いくら下ネタ常習犯のおれでも今回ばかりは普通の地面に掘った穴の話です。決してちんこドッカーンとかいう話ではないです。
『くぅ、きもいよぉぉ…』
違和感はやっぱり否めない。
ちんこならまだギリ許せるけど、アナルは無理!羞恥MAX!
やあぁぁ舌がっ舌がっ、何かぐいぐいきてるうぅぅ痛いとか言ってらんないよねえぇひえええ!!!
無理だ無理だよ無理です無理だああああ!!!!!
『やっ、め‥‥ゔぅ』
「すぐ快くなる。」
『ケツはそんな神秘の快楽秘めてねーです… 死ぬうぅ…ッ!』
舌と指が入れ換えられたと思ったら舌じゃ届くはずもない奥にグングン突っ込んでくる。
なかの指が動くたびに心無しか腸が押し上げられてるみたいな感覚がして…あーーこれ便意に似てる。(お食事中の方すみません)
やばいぞこれは自分の体内にサナダ虫(全長2m以上もある細長い寄生虫)がいるくらいの気持ち悪さだ。
…真田虫ではないからな、そんな可愛らしい感じは到底ない。
主が食べたものを少しだけ盗み食いして、どんどん大きくなってゆく気色の悪い寄生虫です。
『さ、なだ…っアぐ‥!』
「 ‥‥‥‥。」
(-_-)おや?
政宗さんの指がぴたりと止む。
安堵に長く息を吐いている最中に見遣った彼は、指に伴うよう固まったまま。
指抜いてくれないかしらと目線を向けていると、彼の眉が段々と吊り上がり表情から怒りの感情を露わにされた。
「なんで真田幸村を知ってる?」
『はい?』
「アンタまさかたァ思うが…武田の間者じゃねえだろうな。」
『はぁ、何ゆってんすか…ヤんないなら指抜いてくださいよ。』
「Answerが先だ。」
真田のことは知ってる。
でも言ったら疑われるだけだし言わない方が良いに決まってるよなぁ…
第一こいつ俺が未来人だって信じたんじゃなかったのかよ。腹心信じるってゆってたじゃねーか!
『おれ、この世界の人間じゃないんですけど?』
「さっき真田と聞こえたのは間違いじゃねえはずだが?」
『それサナダ虫っていって、人の体内に住む寄生虫の名前です。この時代じゃ誰も知らないかもですね。』
「What?」
『感覚的にうねうねしてたので、腹にサナダ虫が寄生したみたいだなぁと思って。』
途端に彼の顔が穏やかになり、勘違いと知れた恥ずかしさを隠すよう舌打ちを零されると…なんかちょいと罪悪感なんだけど。
ごめんね、言ってる事はほんとだけど真田のことも知ってるよごめんね!
でも言わないよごめんねええぇえぇ!!
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