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Without haste, but without rest.
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全身の骨が軋む。

てゆか特に何処が痛いってケツだよケツ。生まれつき縦に裂けてるってのに更に裂かれたとか裂きフェチ極めてる。




目が覚めたら生きてましたってどんだけ俺に恨みがあんの。生き地獄味わえってのか!

こうなったら濃姫に浄化してもらうもんねーだ。そう、いまだ諦めるということを知らない俺の野望。






『たっだいまあぁぁ!』





目が覚めたのは城の庭。

ちゃんとキッチリ着流しも着せられていて、目に見える切り傷なんかにしたって軽くチャンバラした後って程度にしか見えないだろう。

何で殺されなかったんだ?
誤解がとけたのか?
だとしても何で?

浮かぶのは疑問符ばかりだ。
答えなんて出てきやしないし…考えるだけ無駄だけどさ。







「名前、テメェいま何刻だと…‥っ?!」

『すません、木登り楽しすぎたー!はいこれ土産の駄菓子ですっ』

「折角の着物が台無しじゃねえか…ったく、さっさと風呂に入れ!」

『きゃっほー!怒られなかったどー!』




はしゃぐのも程々に。

いま走ったりしたらまた尻の傷口が開く。褌は千切られたからつけてない、いわゆるノーパンってやつなので裂けたら血がバレしまう

不自然にならないように、一歩、一歩。











風呂はきつかった。

もう染みるのなんのって漢泣きだチクショー!
でも急いで洗ったら尚更痛いし、ゆっくり地味なる痛みに耐えながら洗いました。

明日の風呂時までにカサブタ出来てますように…いやほんと特にケツ。





『湯船つかりたかったなぁ…』




寝間着を纏ってぺとぺと裸足で政宗の部屋に足を進める。足の裏ぜったい黒くなるやつだ。

小十郎に木登りで通ったし、政宗に訊かれても木登りで良いよな。
俺ってこの歳になっても木登りして切り傷たくさんで帰ってくるようなヤンチャ坊主に見えんのかなぁ…複雑だなぁ。





『入りますよー。』




すすすと襖を横に引いたら、こっちに背を向けて座り込んでる筆頭さん。

月でも見てんのかな。






『月、綺麗ですね。』

「‥‥あぁ。」





え、なにその明から様なローテンション…

せっかく政宗さんと戯れて癒されよーとか考えてたのに!
構ってやんないぞーいいのかー政宗さんやーいーいいのかー…構ってよ!!






『遅くなったこと怒ってるんです?
手頃な木があったから我慢できなくて』

「誰にやられた?」

『ハ…なに、』

「誰がお前を、そんな身体にしたんだ。」





政宗さんの手が帯にかかった。

ビクリと肩が震え、つい先刻の出来事が鮮明にフラッシュバックする。

俺は何をされる?尋問されるのかな。答えなかったらまたきっと…でも、政宗さんが?いや政宗さんも男だ、みんな同じ。無理矢理突っ込まれて捨てられる怖い、怖い怖い怖い。




『…っ触んな!!』




「名前…」

『情けないの、判ってる…
野郎に組み敷かれて抵抗も出来ないで、涙堪えんので必死とか、もう男じゃねーよな…』




声が震える。

これがトラウマってやつなのか…目の前の彼ですら俺を生き地獄に引摺り込むんじゃなかろうかって、恐ろしい。

自分はそんな脆かないって、自負していた…つもりだったんだけどな。






『…明日また、城下行ってきます。』

「Why? また野郎にでも遇うつもりか?」

『違いますー、遊郭に行きたいの。』




ここで名案なんだけど、性的に心が傷付いたらそこはまた性的に心を癒すべきだと思うんだ。

この時代の女の子は貞操大事にしてそうだし、直ぐにヤらせちゃくれない…とかいう固定観念がある。

だから遊郭。
だってお金払ったら気兼なく即ヤれるし!そう俺はゴミクズ!






「‥‥‥駄目だ。」

『そこをなんとか!後生ですお願いします政宗サマ!』

「女抱いたくらいで流せるもんかよ、お前の痛みは。」






そんなこと、わざわざ言われなくても悪足掻きだって判ってる。

ただお前に“もう平気だよ”っていう口実を作って、あわよくば偶然にでも真田に逢えたなら救われるかな、なんて考えた。
あと正直言えば、俺も一発抜きたいトコロ。



かと言って城主の反対を押し切ってまで励まなきゃならない行為でもないし、ここは潔く諦めますか。





『はぁ、判りましたよ… 今日は疲れたんで、もう寝かせてください。』





女中さんとか引っかけたら怒られそうだし、それで城に居づらくなったら困るしな…それも止めておこう。

やっぱり一家に一人、濃姫必要だよ。
何度も言うけど癒しが足りないんだって伊達軍はさぁ!!




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