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はじめました
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彼女にふられた。





彼女っていうよりセフレのはずで、俺はお互いに望んでそーいう関係なんだと思ってたんだけど…どうやら違ったようで。


「あたしって名前の何なの?」

『良きセックスフレンド!』



って言ったら左頬を容赦なく平手打ちされ、いま現在もヒリヒリしてるし触れると痛いし。

雰囲気に流されてエッチして、そっから身体だけの関係が続いて、って…誰も彼女だなんて思わないから!好きとか一度も言ってないし!ピュアか!





『めっちゃ腫れてるじゃん…くそー。』



朝起きてみたら頬がリンゴ病みたいに真っ赤だったから、とりあえず湿布を貼っておいた。

これじゃあ格好つかなくて遊びにも行けないよ…もしそこまで想定してあの素晴らしく振りかぶったビンタをかましたのだとしたら…チクショー呪ってやる。



どうせ憎たらしかったんだろ、この顔が!

何たって我が家のお母様は若いころミスなんたらを授賞した世にも美しいフェイスの持ち主だからな!!!
親父もなんとなんと現役バリバリ俳優だしな!

だから実家はとっても裕福で、俺はこうしてマンション一室を誕生日にプレゼントされちゃったりしてて。


もう親バカなんだからッ!
(ありがとうお父さんお母さん)












『もうサイコーに暇。ゲームしよ』



俺の家にはこの遙か昔に友人が置いて行った何とも懐かしいPS2しかゲーム機は存在しない。そしてこれも今やDVD見る時しか使ってない。

ソフトはその際に友だちが置いて帰った戦国BASARA2。
一時期めちゃくちゃにハマって二人プレイしまくってたけど、一部のストーリーは何も終わってないし始まってない。

さっさとしろとばかりにオープニングムービーをスタートボタン連打ですっ飛ばした。





『だれ使うかなー。やっぱ濃姫かなふふ』



なんか飢えてる?

おれ飢えてる?

無意識に胸ばっかり目が行ってしまう。暇って怖い、一瞬にしてわたしをおっぱい星人に変えてしまう。





『やっぱやーめた。政宗にしよ』



始めたばかりの頃は女性キャラがかすがしか居なくて、謙信が憎たらしくて憎たらしくて彼女でプレイするのは諦めたものだ。

そこで次の女性キャラクターが出るまでの間ずっと愛用してきたのが伊達政宗。
いや〜〜男前!刀持ってユラユラしてるのちょっと気持ち悪い!男前!

真田も何度か使ったけど、暑苦しくてかわいいネ。
こう、思いっきり甘やかしてみたいよね、お気に入りの後輩くらい甘やかしたいよね。






そんな妄想はさておき、伊達さんを選んで決定ボタンをプッシュ。




『“この軍でよろしいですか?”…?こんなん出たっけ』



久方振りにプレイするし、何処をどうするとかそんな明確には憶えてない。

特に躊躇いもなく、もう一度決定ボタンを押す。




『“遊びますか?”…えっ、しつこい。』



決定連打!

連打連打連打あぁぁ!!

ダダダダダァァ!!!!





三回くらい“はい”を選択しても同じ質問の繰り返し。ディスクがイカレたのかなとようやく疑い始めた俺は、舌打ちをひとつ。

そこで、文章が切り替わった。









『“本当に遊びますか?”……。』





そんな聞き方されちゃさすがに戸惑う。

無意識のうちにちょっと手汗とかかいちゃう。この得体の知れない動悸はなんだ。



恐怖?焦り?期待?





否、これはただのテレビゲームだ。

手が飛び出して俺の首を絞めてくることもなければ、セクシーな映像が期待できるようなギャルゲーですらない。

第一おれはギャルゲー買うくらいなら普通にAVを買う。女のコはやっぱり生身が一番だと思う。
マスタベってる時にボタン押しながらストーリー進めるなんてしたくない!



そんなことはどうでもいいよ!!!




我に返った俺は、吐き出した息と共に決定ボタンを一押しした。







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