「おまっ、どこ触ってんだよ!!」
「どこって、びーちく」
「なんだよその言い方懐かしいな…。いや、じゃなくて…!」
「だーいじょうぶだって!ココでも気持ちよくなれるらしいからよ!」
見上げれば青色の髪をした輝かんばかりのヤツの笑顔。でも片腕では俺のち、ち…胸をくまなく触りまくり、空いたもう片方の腕は俺の腕を拘束している。
誰が見てもおかしいこの状況。何でこうなった。なんでなんでなんで。俺はただコイツと生前の経験の話でちょっと争ってただけで。男なら一度くらいはあるだろ。なのに記憶が戻ったばかりの俺には、思い返せばそんな経験、数える程も無かった事を思い出し、なんとも言えなくて。そしたらコイツがテクニックの話とかしだして、わっかんねぇよって言ったら、そしたら教えてやるよって言われて、そのまま、そのまま、
…そのまま、気づけばこうやって床に押し倒されてた。良かった、ココが誰もいない空き教室で。いやそうじゃないだろ。
なんとか止めさせようと、押さえつけられた腕に力を入れようとした。なんでコイツ片腕で押さえてんだよ、俺そんなに力弱いかよ。
「お前っ、いい加減にしないと……、ふぁっ…!?」
腕に力を入れた途端、触り続けられていた所が、変に疼いた。え、なんだ今の声。俺か?俺なのか?…今の声、まるで、
(…女、みたいじゃないか)
自分の声が頭で反芻し、信じられないといった表情で呆然としてしまった。だって、そんな、俺男なのに。
「ほら、な。言った通りだろ」
得意そうに顔をニヤつかせる日向。マジで殴ってやりたい。やりたいけど、俺の腕はコイツに拘束されてて、力入れたいけど、今コイツがやってる変な行為のせいで、力が入らない。
それからも日向は調子に乗ってシャツの上から執拗に弄り続けた。おかしい。本当に何が楽しいんだか。でもそういうわりには、だんだん息切れしてきやがった俺。どうした、俺の体。
(くそっ、なんで…こんなに…)
「なんだよ…音無、ココ…そんなにイイのか…?」
「!!」
さっきまで指の腹で擦る程度立ったのに、コイツ、爪たててきやがった。カリカリ、カリカリって、あ、あ、やだなんで、
「あ、あ、ひぁ、や、やめ、…ぅぅ、カリカリっ…すんなぁ…」
「だってココ、固くなってきてんだもん。…なぁ音無。舐めていい?」
は、今コイツなんて言った?
「や、やめっ、あ、……ひっ!」
べろり、と。
シャツをたくしあげるとそのまま舐められた。ああ舐めやがったコイツ。意味わかんねぇ意味わかんねぇ。熱い、熱い。
「うあ、あ、あぅ…」
日向はまるで、甘い甘い、飴を舐めるかのようにたっぷりと、熟れてピンクに染まった俺のそれを舐めまわすと、少し口を離し何やら考えた素振りを見せた後、何を思ったのか、そのまま、パクリと。
「お、ま…!」
暖かい口内に包まれる。日向の口の中は驚くくらいに熱かった。時折舌でつついてくる。もう片方は空いた手で、やはり爪でカリカリと弄られる。そのたびにビクビクと体が震える。
「いや…だ、もう、やっ…あ、ぁ、あ、ん、」
「…ん、おとなひ、おまへ」
「……んんっ!!ばか、あ、しゃっ、べん、なぁ…!」
日向が喋る度にその振動が響いて、やばいこれ、しにそうだ。
「…おまへ、ん、こひ、ゆれてう」
「ふぁあっ、っだか、らっ…くわえたままでっ……へ?」
こひ?こひ、こし、腰?
腰、揺れてる?
腰、揺れてる。
「んぅ…ぷは、うん。やっぱ、腰揺れてる」
「ふ、え、嘘。…ひああっ、カリカリやめっ…」
「ほらほら、揺れてんじゃん。さっきから一杯喘いでるし。…これもしかしたら、このままイケるかも」
何やら不吉な言葉が聞こえてきた。おい嘘だろせっかく離したのになんでまた加えんだよ。爪でカリカリって、左右の温度差が、だめだほんとにもうこれいじょうは。
「や、ぁ、あ、あ、…あうっ!!」
余裕ないってのにこのばか。
吸いやがった。それはもう、力一杯。
「あああっ、だめ、だ…やあっ!」
もうなにがなんだかわからない。腕の拘束は多分もうされてないと思うけど、もうそんなの意味ない。逃げる余裕なんてないんだから。静かな空き教室で、俺の酷い喘ぎ声が響く。でもそんなの俺の耳には入らなくて、聞こえてくるのは、カリカリと、ちゅうって俺のそれを吸う音と、それからそれから、
「…おとなひ」
「んあああっ!っから、それ、ひびいてっ、」
ああ、めのまえが、チカチカしてきた。目の、焦点が、あわ、な、あ あ、あ
「あ、あああ、だめだめやだやっ…、…あ、ひ、あああああああっ!!」
――――ビクビクビクと。
もう腰が揺れてんのか、体全体が震えてんのか分かんねぇけど、とにかく俺は、俺は、
「…あーあ、乳首だけで、イッちゃったな」
はふはふと、整わない息の中、聞こえてきた元凶の声。その言葉に俺は、…ああ、恥ずかしすぎて死んじまいそうだ。
「だ、れの…せいだよ…」
とりあえず出来る限り睨み付けてやった。まだ俺の上に馬乗りになっていた日向は、それでも余裕綽々といった風で。
「…はは、睨み付けても、お前、涙目だし…それに、」
そこで言葉を切り、アイツは俺の耳元に近づいてこう言い放ちやがった。
「…それ、…誘ってる風に見える」
「なっ…!」
慌てて顔を話すと、恐らく、文字通り林檎のように真っ赤であろう俺の顔を見つめ、あれなんか顔近づいてないか、え、ちょ。
ちゅ、と軽いリップ音。
「お前、エロい。反則」
ニヤリと笑ったその顔は。
ばかかお前、あほ、あほ日向。
お前のその顔のがエロイよ。ばか。
未経験につきご注意を
(なぁ音無ー)
(またシような!)
(…っ誰がするかばか!)
(えーいいだろー)
(な、…結弦)
(…名前、反則っ、だ!)
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