あ、愛しい。 | ナノ


だけどこの写真が、後々私のことを苦しめるようになるとは思わなかった


「この写真、SNSに載っけておこうっと!」

「なんて?」

「『桜子とデートなう笑』って!」


椎名は何の気なしに言っているのだろうが、そう言った一言一言が全て私を喜ばせている





買い物を終えて昼食を摂るため喫茶店に入った

レトロな雰囲気が落ち着く、素敵な店だった

デパートの地下の食品売り場で買ったたこやきを食べながら、椎名は携帯を触っていた


「あ、桜子見て」

「なぁに?どうしたの」


携帯の画面を見せる椎名


「ほら、これ」
「奥山くんがコメントしてくれてる」


奥山くんと言うのは同級生の男の子だ

陸上部の部長だか副部長だかをしていたはず
運動神経がよくて、体育も本気でやるような熱血体育会系だと記憶している


「奥山くん、お城好きなのかなぁ」

椎名は返事しとこ、と言って笑っていた



帰りの電車の中でも椎名は奥山くんの話をしていた


「奥山くんめっちゃ優しいしかわいい!」


どうやら椎名の中では奥山くんはだいぶん好印象なようで、携帯を触っている間は奥山くんと会話をしているようだ


「わたし、義也と別れて奥山くんと付き合おうかな!」

なんちゃって


笑いながら話す椎名だったけれど、私は既に後悔していた


椎名が奥山くんを好きになる日が来るのではないか、と


    
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