「カグヤ

部屋に入るや否や僕を大きな何かが包み、血と香水が混ざった香りが鼻をくすぐる。

「ヒソカ…」

「待っていたよカグヤ

一番早く着いたのか。
僕らも十分早く着いたと思ったけどやっぱりヒソカは化け物だ。

化け物な忠犬。
僕にとって悪いことではない。
化け物を飼ってるんだから僕もまた化け物なんだけど。

自嘲するように笑うとヒソカが褒めてくれと言わんばかりに頬擦りをしてきた。
なんだか本当に犬だね。
心なしかハートが飛んで見えるよ。


「ねぇどういうこと」

ベリッと力任せにヒソカから剥がされたかと思うと今度はイルミの腕の中に包まれた。

まずい。
なんの説明もしてない。
イルミはゴゴゴと黒い何かを出しているようにも見える。

「おやイルミいたのかい

「質問してるんだけど、なに。ヒソカ、お前知ってたの?」

「カグヤしか目に入らなくて気付かなかったよとりあえず返してもらおうかせっかく会えたんだし

「絶対に嫌だね。お前なんかに触れたらカグヤが汚れる」

バチバチと火花が散る横でこれからのことを考える。
試験は三日間、まだ一日目。
とりあえず体力温存しないと。
こうやって抱かれているとイルミの体温が背中に伝わって次第に睡魔が僕を襲う。
二人の言い争いを聞きながら僕は微睡みに呑まれていった。



愛は争いを招く
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