「標的発見!と」

柱の影に隠れてこっちに歩いて来るキルアに集中。


まず聞き込み調査をした結果最近のキルアは覇気がなくどこか落ち込んでいる、と思えばふいに威嚇した猫のように神経を張り詰めてピリピリしながら訓練をしたり

うん。間違いなく僕のせいだネ。
僕が蒔いた種は僕が刈らないと。


「目標確保!!」

「!??、なんだよっっ!!これ!!」

柱を通り過ぎた瞬間キルアを大網が襲う。
キルアは状況把握できないのか網に絡まりながら周囲を見渡し僕に気付くと脅えた目で固まる。

「…カグヤ…ッ!」

うん。まるで威嚇した猫だ。


「久しぶりキルア」

「何の真似だよ!放せよ!」

キルアはフーッ!フーッ!と逆毛を立てるように網を引きちぎろうとする。


「無駄だヨ、これは特別な網なんだ」

「今更俺に何の用だよ!」

「それなんだけどネ、謝ろうと思って」

「は?」

「いろいろあって感情のコントロールが出来なかったんだヨ、八つ当たりみたいなことしてごめんネ」

「…んだよ、それ」


キルアは不貞腐れたようにフイッと俯く。
あり?どうしたのかな


「てっきり俺は…」

「てっきり俺は?」


「俺の弱さにカグヤが失望して興味がなくなったんだって…」

「まさか、そんなことないさ。ただ怖がらせたみたいだから暫く近寄らないようがいいかなって思っただけ」


キルアの表情が一変して安堵の溜息を吐いた、うん。相当不安だったんだね。


「お互いすれ違いだネ」

「うるさい、これも全部カグヤのせいだからな!」

キルアの顔は真っ赤で照れ隠しなのか怒ったように僕に食ってかかる。
うん、やっぱりキルアはこうじゃないと。


「ごめんごめん、お詫びならなんでもするヨ、今日は珍しく仕事入ってないからネ」

「マジ?じゃあゲームと訓練しようぜ、この二週間の埋め合わせな」


百面相のキルアは本当に可愛い。
僕の癒しだネ。

でも一度殺されかけた相手にここまで純粋に心開けるなんて、殺し屋としてはちょっとダメだヨ。


「ま、いっか。そうと決まればキルアの部屋へレッツゴー!」


「ちょ!おい!この網ほどけ!おい!こら!」


騒ぐキルアを無視してキルアが絡まっている網を引きづりながら廊下を歩く。


なんて楽しい休日だろう。




猟奇的な仲直り
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