「お前も随分スマートに殺せるようになったな?」

「伊達に毎日殺されかけてねぇよ」

「人聞き悪いこと言うなよ、俺はシルバさんに頼まれてお前を稽古してるだけだっつーの」


ロアとキルアは繁華街を歩く、今日は思ったより早く片付いたので息抜きとロアが提案して連れ出したのだ。


「てかこんな時間なのに人多いし明るすぎ」

「お前本当に世間知らずだな、繁華街ならこんなもんだ。あとは道行く男女の情熱的な逢瀬も日常茶飯事」

「ケバい女しかいねーけどな、って!おい」

キルアは女の子達に声をかけられてるロアを見て呆れたように呼びかける。もうこんな事にも慣れた。ロアは男女の姿問わず人目を惹きつける。今は男の姿、まるで電柱に群がる蛾のようにロアには女の子達が集まった。


「ゴメンね、まだ仕事なんだ。今度ね」

「もー、ロアってばいっつもそうなんだからぁ!」

「ロア、お店寄ってってよー」


なかなか引かない女の子達にニコリと微笑みキルアを引き寄せる。


「今日は弟も一緒だから、ごめんね」

そう言えば足早にその場を立ち去った。


*

「お前いつの間にあんな女共と知り合ったんだよ」

「いや一人の時の仕事帰りとか?」

「はぁ…、つーか、弟って何?」

「あー、あれは、な。あぁ言ったらすぐ引き下がると思ったからな」

他意はないとロアは言うが頬がほんのりと赤い。


「お前…、まさか」

言いかけたキルアがドンっとロアの背中にぶつかる。


「痛ってぇな!いきなり立ち止まんなよ!何見てんだ?」


ロアがボーッと眺める先を見つめるとキルアは思わず自分の目を疑った。イルミが女と二人でいるのである。しかも親しそうに腕を組んで。



「ロア、…あの、よ」

「…さ、土産でも買って帰るか」

「あ!…おい…」

くるりと向き直り反対方面へ歩き出すロアを慌ててキルアは追いかける。

ロアが何を考えてるかはわからないが、空気がピリピリしてるのはキルアにも伝わった。


込み上がる感情


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