「さっきより混んでるわね」
「ハニーデュークスはホグズミートの目玉みたいなもんだからね」
リンクスは真剣な表情でドラコのお土産のお菓子を選ぶ。
「これなんかは?リジーはストロベリー味とかラズベリー味とかベリー系が好きだろ?」
「見た目が可愛すぎないかしら?これドラコに買うのよ?」
「あー、弟くんにか。でもあの弟くんだったらリジーから貰ったものは何でも喜びそうだけどな」
「そうねぇ、ねぇフレッドはどう思う?」
リンクスが振り返ると先程までいたはずのフレッドの姿はそこになかった。
「相棒のやつ、どこに消えたんだ?」
「迷子かしら?」
「あいつが迷子になることなんてないさ、待ちきれなくてゾンゴにでも行ってるのかもな」
「なら会計済ませたら私達も行きましょ」
ジョージは一瞬フレッドが自分に気を使ってリンクスと二人きりにしたのかと思ったがそんなことフレッドがするはずがない、まずあいつは俺の気持ちにも気が付いてないんだ。
「ジョージ、行きましょ」
会計を済ませたリンクスがジョージの腕を自然に組み歩き出す。ふわりと甘い香りがジョージの鼻腔を擽る。
ディゴリーめ、こんな可愛いリジーを独り占めしてたのか。
糞爆弾の餌食にしてやる。
メラメラと闘志を燃やすジョージの隣でリンクスがあっ!と声を上げた。
「フレッド!」
するりとリンクスはジョージの腕を抜けてフレッドに駆け出す。
「もう!何処に行ってたの?勝手にいなくなるなんて…」
「心配させてゴメンよ、でも、はいこれ」
リンクスの手にフレッドから渡されたのはハートの形をしたピンク色の風船。
「こ、れ…」
「欲しかったんだろ?」
ニカッと笑うフレッドにリンクスは一瞬で真っ赤になる。
「まさか!なんで、私がこんな、子供っぽいもの…」
「見え見えの嘘はやめといたほうがいいぜ?ディゴリーと一緒にいたとき、アクセサリーより風船に夢中だったのはお見通しだ」
「ッ…!…ぅ…」
「それとも、本当にいらないんならこのまま空に飛ばしちまうぜ?」
「…いる、わ」
「素直で宜しい」
フレッドはワシャワシャとリンクスの髪を撫でながら優しく微笑む。
「…ありがとう」
「どういたしまして」
クスクス笑い合う二人をジョージはただ見ていた。
自分はリンクスが風船を欲しがってるなんて気付けなかった。
フレッドはわざわざアクセサリーショップの前まで戻って風船を…
いや、勝負はまだまだだ。
俺は絶対に負けない。
ジョージは硬く握り締めた拳にそう誓うと二人の元へ駆け寄った。
どうしてわかったの?
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