貴方がすべて。



「いいかいアネモネ、さっきの行為は簡単にしちゃいけないんだよ?」

クロロを何発か殴りスッキリした後、マチはアネモネを叱りつけていた。


「さっき、の行為?」

マチが何を言ってるのか理解できないのかアネモネはキョトリと首を傾げた。


「だから…、その…団長と…唇を、…重ねた、だろ」

改めて言うとかなり恥ずかしい。
マチは顔をそらしながらポツリポツリと話す。


「あれは誓いのキスなの」

恥ずかしがるマチとは裏腹にアネモネはニコニコしながら言った。


「だから!そんな大事な事を団長なんかに気安くするんじゃない!」

妹のように可愛がっているアネモネがクロロにキスをした事が余程ショックだったのかマチは猫が毛を逆立てるように興奮していた。


「だって、アネモネはクロロのモノだもん」

瞬間、クロロを袋叩きにしていた団員の手が止まる。


静寂が訪れた。


「団長、まさかとは思うけどアネモネに手出してないよね?」


シャルナークが笑顔で問い掛ける。

だが黒い。

目が笑っていない。


「出すわけないだろ、俺はペドフィリアじゃない」


団員達の視線にヒヤリと汗が出る。


「フェイ」

「わかてるよ」

シャルナークの声に素早く反応し、フェイタンはクロロの腕を掴んだ。


「体に聞くのが一番ね、団長、ささとホントの事吐くよ、じゃなきゃ爪剥がすよ」

「待て、フェイ!本当だ!俺は無実だ!」


ジタバタと抵抗するクロロをシャルナークやフィンクスが押さえる。



「団長、いまだにアネモネとお風呂入ってたよね?」

遠巻きに見ていたシズクがポツリと爆弾を投下した。


「決まったな」

「有罪よ、団長」

「違う、待て、そんな虫を見るような目で俺を見るな、違うんだ」


クロロの弁解も虚しく冷ややかな視線が降り注ぎ、腕を折られそうになる。


「やめ、!て、クロロいじ、めないで!」


すると、ただならぬ空気を感じたのかアネモネがえぐえぐと泣き始めた。


「わ、アネモネ泣かないで」

「おら、フェイ団長離せ」

「いじめるわけないね、アネモネ団長は無事よ」


アネモネの涙に団員達は手のひらを返すように慌ててクロロを離す。


少しボロボロになったクロロにアネモネが抱き付いた。


「…う、……クロロ、……ッ…クロロ、…大丈夫?」


ペタペタとクロロの顔を触り、心配するアネモネに不謹慎にもクロロは愛しさが溢れた。

「こんな事で俺が怪我するわけないだろ。大丈夫だ、だから泣くな」


クロロはアネモネの涙を拭い、優しく頭を撫でた。


「ありゃ重症だよ」

「きっともう無理よ、諦めなさい」

「あれは刷り込みみたいなもんだから」


アネモネを泣かせてしまった事に落ち込むシャルナークやフィンクス、フェイタンを慰めるパクノダとマチがいた。


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