「ジュリアちゃんっ!」

「ジュリエット!!」


ジュリアの姿を見るや否や、二人は急いで駆け付け、モリーがジュリアを抱き締めた。


その後ろからルシウス・マルフォイと寮監の先生二人が入ってくる。


「…パパっ、ママっ…」


ギュッと抱き締められ、苦しそうにしながらもジュリアはどこか嬉しそうに笑った。


「パパ、お仕事は?」

「娘より大事なものなどない!早退してきた!」


胸を張って言うアーサーにジュリアとハーマイオニー達は苦笑いし、双子は流石パパ!と口笛を吹いた。


「…怪我はもう治ったのか?さっき校医の先生に聞いたが酷いらしいじゃないか」

「大丈夫?ジュリアちゃん?痛みは?」

「もう、大丈夫。全然痛くないわ」


ふわりと微笑む娘に安心したのか二人は安堵の息を洩らした。


「ところでルシウス、何故君が此処にいるのかな?」

冷静を取り戻したアーサーは冷ややかにルシウスを見つめた。


「キミと同じさアーサー。息子が授業でヒッポグリフに襲われそうになったと聞いてね」


二人の間をバチバチと火花が飛ぶ。


「それで?息子がこんな危険な目に合うことになった責任は誰が取るというんだね?」

「先程起こったばかりの事件です。学校側も対応はきっちり考えます」


スネイプが丁寧な言葉でルシウスに頷いた。

「学校の一授業程度で、生徒が大怪我を負うとは…監督が上手く行き届いてないらしい。まったく、嘆かわしいことだ」


ルシウスが大げさに唸った。

先学期末、ルシウス・マルフォイがダンブルドアに色々なことをたしなめられてたじろぎ、結果理事を辞めることとなったルシウスはどうあっても学校に難癖をつけたいのだろう。


「そこの女子生徒も今回の事の被害者かね?見た限り怪我をしてるようだが…息子がこのような危険な目に遭った事に関係はあるのですかな?」

「ミス・ウィーズリーはご子息を庇い怪我を負いました」


スネイプの言葉にルシウスは眉を顰めた。


「…ならば礼を言わねばならんな…」


ルシウスはジュリアに近付くと、怪訝そうな表情を浮かべた。


「ジュリア…、ジュリエット・ウィーズリーといったかね?」

「…はい」

「キミの事は耳にしてるよ、今回の事は礼を言おう。…しかし、息子と男女の根も葉もない噂が起つような行為は控えて頂きたい。」


ルシウスの言葉にアーサーとモリーは目を剥いた。


「ジュリア…ッ…それは、本当かい?」


驚愕の表情を浮かべジュリアを見つめる二人にジュリアは顔を合わせる事が出来なかった。


「「パパ、ママ!誤解だよ!」」

「ジュリアはなんて言ったって」

「ハリーと付き合っているんだからね!」


双子がフォローするように上手く話を進める。


「何!?ハリーとだって!?」

「本当なの?ハリー」


ハリーはオロオロするジュリアに目線で大丈夫と伝えると、真っ直ぐに二人を見つめた。


「はい、お付き合いさせて頂いてます」


「ー…違う、」


ハリーの言葉に、小さくドラコが呟いた。


「…ジュリアは、僕の彼女だ…ッ!」


悲痛なドラコの叫びが医務室に響いた。


曖昧な真実
prev / next

back