ジュリアはハリーに先に寮に戻っててと言い、フラフラと月明かりに照らされる廊下を歩いた。


なんで、こうなってしまったのか。
きっと、ハリーの優しさにつけ込んだ罰なんだ。


じわりと涙が溢れる。

ハリーはとても優しい。

なのに、あんなに傷付けてしまった。


濡れたエメラルドを思い出す度に胸がズキリと痛む。


私は、卑怯だ。

きっとハリーは明日にはもう何もなかったのように接してくれる。


私は、どうしたら



「ジュリア?」



名前を呼ばれ振り向けば、灰色の瞳と目が合った。


「…セドリック」

「どうしたの?こんな時間にこんな場所で…ジュリア、泣いてる…?」


セドリックは心配そうに歩み寄り、ジュリアが泣いているのに気付くと優しく頭を撫でた。


「私…」

優しいセドリックの雰囲気にジュリアは先程まで張り詰めていた緊張が緩み、ボロボロと涙を溢しながら今まであった事をすべてセドリックに話した。

ドラコの事も、ハリーの事も

そして先程の事も。


「…私、最低な事ばかりしてる…っ…愛される資格も、泣く資格もないのに………」


セドリックは責める事も慰める事もせず、ただただジュリアから吐き出される悲痛な声を聞き、優しく背中を摩っていた。


しばらくすればすべて吐き出しすっきりしたのか、少しジュリアが落ち着いたのを見ると立ち上がり何処かへ行ってしまったかと思えばすぐに戻って来た。


「はい」

セドリックはジュリアの掌にコップを置いた。

「…?」

不思議そうにしながらも受けとれば、温かいココアだった。


「飲んで、きっと落ち着くよ。それに夜は冷えて寒いし」

セドリックは優しく微笑んだ。

ジュリアはそんなセドリックの優しさが嬉しかった。


ココアの湯気みたいに、優しく温かいセドリックは、とても居心地がよかった。


「…ごめんね、セドリック…。いきなり泣き出してこんな話して………、」

「いや、僕は頼ってもらえて嬉しいよ。それにそういう時は溜め込まないで吐き出すのが一番だよ」


セドリックはポンポンとジュリアの頭を撫でた。


「ジュリアは溜め込みすぎなんだ、もっといろんな人に相談してみなよ、きっと皆受け止めてくれる」

優しいセドリックの笑みに心が温かくなったジュリアは、コクリと頷いた。


ハーマイオニーに、言ってみよう。

きっと怒られてしまうけど、今は彼女に無性に会いたい。


その涙に触れるのは
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