▼ソレデモシタイ

SEXが終わりイルミがベットから出て行く。
まだ体を伝うどちらのモノかわからない汗がひやりと冷たい。


私を抱いた後イルミは何も言わず一人でシャワーを浴びる。

あいつは絶対にアタシの好きなボディーソープを使わない。

シャワーでさらっと流すだけ。

アタシの匂いを持ち帰らない為に。

前にどうして使わないのか聞いた。

家族がいるからとだけあいつは表情を変えずに答えた。


無味無臭であのままただいまって素知らぬ顔で奥さんの所へ帰るんだ。


減らないよ、ボディーソープが。
減ってくのはアタシの心だけ

イルミが帰った後アタシもシャワーを浴びる。

ワンプッシュして思わず涙が溢れ出た。

会いたい

イルミの想いなんて無視して独り占めしたい。

シャワーに打たれてアタシは呟く。

アタシは馬鹿で欲深で強かな女。

イルミはズルくて卑怯で最低な男。


それでも、会いたい。

それでも愛してる。


なんて馬鹿なんだろ。



一人になると部屋が静かで嫌だ。普段聴きもしないくせにラジオを流す。

ふと流れた歌が耳に入って涙がこぼれた。
どうしようもない何かが堰を切ったように私の心を掻き乱す。

見苦しいアタシをイルミに見られたくない。
イルミを引き止めたら、イルミに縋り付いたら、嫌われてしまいそうな気がして。


アタシは馬鹿で欲深で強かな女


奪いたい。

帰り際に強く抱きしめて困らせてやりたい。

アタシの香り押し付けるの。

あいつはどんな顔をするだろうか。


きっと無表情で私を押し退けて二度と会いに来ないだろう。


それでも私はあいつが好きなんだ。

なんて馬鹿な女なんだろう。


イルミの匂いを抱きしめながらアタシは一人で眠る。


私は馬鹿で欲深で強かな女。



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平井堅のソレデモシタイを聴いて衝動的に書いてしまいました…。
もう頭から離れなくて…、好きな方がいてなんだこれは!ってなったら本当に申し訳ありません。



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