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月に一度の

−−−−




「ああーーーー!
お腹痛いっ!!!!」





あたしはあまりの痛みにベッドサイドの薬に手を伸ばした。


ひょい、と取り上げられる箱。




「あかん。まだ6時間たってへん。
もうちょいできーてくるから、おとなしくしとき。」



柔造は読んでいた本から目を離さず言った。
あんまり他人事みたいで、お腹の痛みと共にすっごく頭にきたから
クッションを投げつける。避ける。


むかつく!!



「うるさい!!
男にはわかんないんだからほっといてよね!!!!
大体何にもできないくせに、なんでウチにきてんのよ!」



あたしはばたばた布団を蹴りながら声を荒げた。



今度は目だけあたしの方を向いて、




「なんもでけんから、そばにおるんや。」



いつもならキュンとしてしまいそうな言葉に表情だけど、
今日この日ばかりは何もかもむかついてしまう。



「あーもう!あっちいっててよね!!
タレ目がカンに障るっ!!!!」



いちゃもんつけて寝返りを打った。
だってお腹いたいんだもん。泣きそうなんだもん。


はあ、と小さいため息と本を閉じる音。
そして柔造は立ち上がって寝室を出て行った。

急に静まり返る家の中。





え、ウソ。
もしかして帰っちゃったの?




「じゅーぞー…?」




恐る恐る呼んでも返事はない。

自分以外の温度の感じられない部屋が不安を煽る。



だって、まさか、そんな。
帰るなんて、思わないじゃん。

いつもみたいに
「しゃーないなあ」 ってくしゃって笑ってくれるって



ずきずきする下腹部の痛みがひどくなる。

締め切った部屋の中は時計の音しか聴こえなくて
まるでこの世にひとりぼっちになったみたいだ。


やば、ほんとに泣けてきた。



20超えて生理痛で泣くなんてダサすぎる。

…とりあえず、あったかいお茶でも飲もう。



冷え切った足に力をいれて立ち上がる。

ベッドのそばにさっきまで柔造が読んでいた本がおいてある。

何故か切なさが増した。



寝室から出て、居間とキッチンを覗いたけど、
どこにも柔造の姿はなかった。


「…っと、お茶っぱは…」


お茶っぱの入った缶を手に取って開けようとしたら、
蓋に変な風に力が入ったのか開くと同時に ぶあっ と
茶っぱがこぼれて舞った。



えっ、どういうこと
えっ、待って待って待って

なんであたしばっかり

こんな目に合わなきゃいけないの




そう思ったら体から力が抜けて、
あたしはその場に座り込んで、泣いた。



お腹は痛くって、

薬は効かなくて、

彼氏に意地悪したら彼氏帰っちゃって、

部屋は寒くて、

お茶っぱは撒いちゃって、

1人じゃ何にもできなくて、

何でこんな弱くなっちゃうの




「…っう、えっぐ、うえ、ひっ…」




ぽたぽたと涙が太ももに落ちる。

もうだめだ。


「じゅうぞぉ…じゅーぞぉ…
柔造のアホ!!!!」



「誰がアホやねん。」



急に目の前に影ができる。
驚いて顔をあげると、少し息を切らした柔造が立っていた。
手には、ビニール袋。


「え…なんでぇ…」


「廊下まで聞こえてんで。
泣くときは窓閉め。」


そういうと柔造はしゃがんであたしを抱きしめた。


柔造の汗ばんだ肩が熱くて、

もっと涙が出てくる。




「…どしたん。さみしかったか。
俺が帰ったんやと思ったんやろ」



「…うん
せっかく心配して来てくれたのに、
意地悪ばっかりしたから、嫌んなったのかもって、」



ぎゅっとシャツを握るあたしの頭に柔造は手を置いた。




「アホ。そんなんで嫌んになるか。
そんなんやったら林檎とは付き合われへんわ。」





そう言って柔造は体を離して、にやっと笑った。





「ま、
俺は月に一度の俺だけに弱気な林檎、見られて悪い気はせえへんで。」



せやから安心せえ、と柔造はあたしをもう一度抱きしめた。




「…ありがと。
大好き。」



おう、と力を込めるあなたが



ほんとうに好き。












−−−−

「…ねえ、柔造、茶っぱ踏んでるよ」
「え、嘘ん!ほんまや!
なんで茶っぱ撒いてん!
足パッサパサやないか!!」
「…ぷっ。

あ、お腹いたくない!」
「なんや、もう良うなったんか。
なら柔造特製卵雑炊いらんか。」
「いる!!!!」



−−−−
月経シリーズ

シリーズ化、の予定?
あとメフィスト書きたいなあ。




女の子のxxx
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