暗闇を抜けた先で斧を持った男が飛び出して来た。不意を突かれその場に転倒してしまい、急いで起き上がろうとした。だがしかし闇は迫り目の前で斧を振り上げた。目を瞑りドンっという鈍い音と共に俺は意識を手放した。



目を覚ました時、まだ辺りは暗かった。また何日も気を失っていた訳では無いようで安心する。あの時俺は助かったのだろうか。誰かが気絶した俺をここまで運んだのか。疑問に思うことは多々あるが、先ずは此処から抜け出そう。早くアリスを捜さなければ。

ベッドから起き上がろうとして違和感を覚える。俺の両手は手錠でベッドの柱に拘束されていたのだ。

「くそっ!なんだこれは」
「目が覚めたかい作家先生」
「誰だ!」

音もなく忍び寄る男は全身が闇に包まれていて顔が分からない。ノイズが入ったように聞こえる不気味な声に嫌悪した。

「おれは運がいい、作家の癖にすばしっこいアンタを拘束することに成功したんだからな」
「っ、一体何が望みだ!」
「さぁなぁ…これもアンタの書いた小説のシナリオ通りなら、アンタは既に分かっているんじゃないのか?」

何てことだろう。
これも俺が書いたというのか。

男の顔は見えないが笑っていることは分かる。この状況を愉しんでいることが。

「…こんなシナリオ、俺は書いていない」
「そいつは可笑しいな、今まで全部アンタのシナリオ通りに事が進んできたんだ。今更そいつが現実通りにならないなんて可笑しな話だろう?」

男は両手を拘束され身動きが取れない俺の上に身を屈めると、ゆっくりと顔を近づけて来た。

「なんの真似だ」

近づく顔を背ける。相手の息が首筋に当たって気持ちが悪かった。早く退いてくれと思った途端、耳を疑う言葉が飛び出して来た。

「しかし驚いた…まさかアランウェイクさんが、男に抱かれる願望があるなんてなぁ」
「何を…」

襟を鷲掴まれ首筋を舌が這う。何て事だ、奴は本気だ。本気で俺を犯そうとしている。

「やめろっ!き、気持ち悪い」
「暴れんなよ、今すぐアンタを殺して死体を犯したっていいんだぜ?」
「そんなこと…俺の小説なら、そんな事にはならないはずだ」

そうだ、これは俺が創り出した闇の世界だ。しかしそれは同時に自身が男にレイプされるシナリオを自分の手で書いたということを認めることにもなる。

男の手がシャツの中に侵入した。首筋にキスマークを作りながら、両手でシャツを胸の上までたくし上げる。

「セクシーな色だな、ウェイクさんよ」
「っ…黙れ」

身体を撫で回す手が胸を掠める。脇腹をそっと撫でられるとぞわぞわとした何かが身体を駆け巡った。徐々に息が上がって、身体が刺激に敏感になっていくのが嫌でも分かった。
男の指が乳首を摘む。親指の腹で捏ねられ、爪を立て、強く引っ張る。赤く腫れあがったそこは少しの刺激でも敏感に感じ取るようになり、隙間風でさえも俺の身体を震わせる要因となった。

「はぁ、ぁ…」
「イイ声だなウェイクさん、アンタは強情だから声を殺すだろうと踏んでいたが、存外快楽には弱いようだ」

歯を噛んで男を睨む。そんな事をしても意味がないのはわかっていた。

「ご褒美だ、もっと気持ちよくさせてやろうな」
「…いやだ、止めてくれ」

男の手がベルトに掛かる。慣れた手付きでベルトを引き抜くと、ズボンとパンツを一気に引き抜かれる。

「もうギンギンじゃねぇか、乳首だけでエロい気分になっちまったのか?アランウェイクはとんだ淫乱だったんだなぁ?」
「やめ…」
「声が震えてるぜぇ?」

男は俺の脚を掴んで開かせると、膝裏に手を回して腰を上げさせた。

「や、やめろ!やめてくれ!」

涙声で懇願しても男が止まるはずが無い。懇願も虚しく勃起したペニスは男の口内に包まれた。

「ぁっ、あぁ…あ、ぁ」
「辛いだろう?声を出しな」
「や、め…嫌」

膝を抱え相手に丸見えの体勢で口からは甘い嬌声を漏らし続ける。信じられない。これが本当に俺が書いたシナリオだと言うのか。アリスを助ける為に必要な行為だと言うのか。
だが今はもう、ここまで来れば逃れられなかった。俺のペニスは限界まで張り詰めていた。

「も、もう…」
「なんだ、言ってみな?」
「…早く、終わらせてくれ」

顔を背けて声を振り絞った。
だが男は無情にもこう言った。

「終わらせる?そいつはどういう意味だ?俺は何をすればいい?」

男は闇を纏わせゲラゲラと笑う。殺したくて堪らない。唇を噛んで、震える声で言った。

「…早く、いかせてくれ」

穴があったら入りたい気持ちだ。俺は男の口内で射精をした。上がる息を落ち着かせる。

「はぁ、…ぁ、あ」
「ウェイクさんよぉ、アンタ今最高にセクシーだぜ?鏡があったら見せてやりてぇや」

男は俺の膝を抱えると、アナルを指で開かせた。まさかとは思っていたが、やはり逃れられないらしい。

「っぐ…」
「大丈夫さ、痛くはしない。アンタがおとなしくしていればの話だがな」

一々人を苛立たせるこの男への殺意が収まらない。唇を噛み過ぎて血が滲み出して来た。口内に鉄の味が広がる。アナルの周りを舌が這い、わざと水音を立てて、滑るそれが侵入する。

「っくは…はぁ、ぁ」
「イイなぁアンタ、顔真っ赤にして涙目で睨まれちゃ勃っちまうよ」
「っぐ…止せ」

両脚を割り開かれ限界まで開脚させられる。脚の間に割り込んだ男が勃起したペニスを取り出した。

「よ、止せ!やめろ!」
「もう我慢の限界だ、ウェイクさんの処女いただくぜ?」
「や、」

止めろ。言い終える前に中に異物が押し込まれた。ロクに慣らしもしなかった狭いそこへ無理やり挿入した為に切れた内部から血が溢れる。強烈な痛みが襲ってくる。一瞬にしてぶわりと脂汗が滲んできた。身体がガクガクと震え、目からは涙が零れ落ちる。声が詰まって出てこなかった。

「っ…ぁっ、あ…は、ぁ、あっ」
「フーッ…ふ、ぐっ…そん、な締めつけんなって」
「い、ひぃ、痛 」

涙と嗚咽が止まらない。鋭い痛みは遠ざかっていったが、じんじんとした痛みは残ったままだ。

「っうぅ…ふぅ、」
「そろそろ動くか」
「や、止めろぉ!…お願いだ!抜いてくれ…頼む」

だがしかし男は喉を鳴らして笑うだけだった。


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