「…すいません、俺戻ります」
「え、あ、っ待てよ!」
「!…なんスか」
せっかく先輩を離してあげたのに戻ろうとした俺の手は先輩に掴まれて動けなくなった。
「お前が…、」
「…?」
「お前が、変なこと言うから」
「えっ…と…、変なことって」
「……俺のこと…好き、とか」
え…まさか…、
ずっとそれを気にしてた?
でもあれはすぐに
冗談ってことにした、のに。
「あ、あの先輩、それはあの時、冗談って─」
「き、気になったんだから、仕方ねぇだろぃっ!あんな変なこと、冗談でも言うなバカっ!」
"気になった"?
それはもしかして、
ほんの少しでも、たった1mmでも
俺を意識してくれちゃったの?
…だったらもう、
「…丸井先輩、」
何を迷うことがある?
「な、なんだよ…」
この俺、
切原赤也は今日を忘れない。
「冗談なんかじゃありません、本気です」
「え…?」
「好きです、丸井先輩」
「っ…どーせまた…」
一瞬、顔をまた赤くさせた先輩は
すぐに顔を反らしてこっちを見なくなった。
「ジョーダン、なんて言ってあげませんから。俺を見て」
2回も冗談にするほど、
俺は優しくないから。
「ッ…うそ、信じねぇ」
「…ちゃんと見て、これから後輩としてじゃなく、ちゃんと俺を見て」
誰よりもかわいくて綺麗で、
誰よりも愛しい丸井先輩に、
今日、想いを告げた。
意識しちゃってください
(もっともっと、俺を意識して)