先輩と一緒に帰ったあの日から
かれこれ一週間が経った。
一週間前のあの日、
俺との勝負(部室まで競争しただけだけど。)に負けた先輩に罰ゲームとしてヒドイお願いをした。
罰ゲームだから言ってくれたってのは分かってんだけど…つい、
…つい、本心が出てしまった。
"好きです"
"俺、好きなんです。丸井先輩のことが"
我に返ってみれば、すっごく困った表情の先輩がいて。
でもなんとなく、それだけじゃないような気もして。
結局冗談にしちゃったヘタレとは
この俺、切原赤也です。
まぁそんなワケなんスけど、
ここ一週間の俺と丸井先輩のやり取りはというと。
*朝
「おっはよー丸井先輩っ!」
「う、わっ!ああ赤也っ!?抱き着くな!離れろ!」
「いったぁーっ!!な、殴ることないじゃないスか…って、あれ、先輩いないし…」
*昼
「あ!」
「あ、丸井先輩!…よ、よかったら一緒に昼ご飯食べません?」
「え、あ、いや、えっと…」
「何しとんの?お前さんら」
「仁王!一緒に昼食おうぜ!!」
「?ええけど…赤也は」
「てことで悪ィな赤也!じ、じゃーなっ」
「え、ちょ先輩…!?」
そう、あからさまに先輩から
避け続けられている可哀想な俺!
朝からまともに先輩と話してないんだけど…どうしようこれ。
そして今、部活
「今日はレギュラー内でシングルスとダブルスを変えてやるよ」
部長なりに考えてのメニューで、
どうやらダブルスの組み合わせを変えたり、ダブルスだった人をシングルスにしたり…とにかく混ぜ混ぜにするらしい。
「ではこれから発表していきます。えーまず…ジャッカル、柳生」
「「はい!」」
「二人は今日、シングルスってことで練習してね」
「あぁ、分かった。」
「分かりました。」
ジャッカル先輩と柳生先輩がシングル…ってことは、後は全員ダブルスってこと…か。
てことはもしかしてもしかして!
丸井先輩と一緒になっちゃったりなんかして!うわっどうしよう!
「次!仁王と俺、ブン太と赤也、そして真田と蓮二、今言ったペアでダブルスをやってもらうよ」
……。
え?…今なんて?
ブン太と赤也、
とか聞こえたんだけど
俺の聞き間違いですかね。
「何か質問のある人は──」
「ゆっ幸村くん!?」
「なんだい?ブン太」
「何で俺と赤也なんだよ!?変えて!仁王にして!お願いっ」
「ええっ丸井先輩!?」
「おーおー、赤也嫌われちゃったのぅ」
ちょ…傷を抉ること言うなよ
この詐欺師がっ!!
つーかなんでアンタ楽しそうなの
少しは慰めようとか、丸井先輩をなだめるとか、…してくれるワケないっスよねすいませんでした。
俺がバカでした。