はっと気付いて手で口を塞ぐが時既に遅し。
「へぇ…」
「っ…んだよ…!」
妙な敗北感と屈辱感と恥ずかしさから赤也をキッと睨み付ける。
「そんな顔で睨まれても可愛いだけなんすけどー」
「!…ばっ、か…触んなぁ…っ」
「耳弱いんスね、丸井先輩」
まるで悪戯っ子のように笑いながら耳を触って俺の反応を楽しんでいる。
ただ触るだけでは飽きたらず
確かめるように形を指でなぞり、時々息を吹きかける。
…っこいつマジで
単なる悪魔じゃん…!
「あか、や、おねが…っやめ」
「やーだ、可愛いんだもん」
ぱくっ。
「っひぁ!?ゃ、なにして…っ」
ひたすら触るだけだった指が離れたかと思えば、遂に口に含まれ、今度は舌で舐められる。
「ん…」
俺の言葉は完全に無視され、
くちゅ、と耳の中に侵入してきてぞくぞくとした感覚が駆け登る。
「ひゃ…っや、だぁ…っあ」
「かわい…」
「ぅぁ…そこでしゃべんな…っ」
やばいやばいやばい
このまま流されたら俺…っ
「ん…丸井先輩…」
ようやくくわえていた口を離し、近距離で見つられた俺は赤也に熱っぽく名前を呼ばれる。
もう、
無理…!
「っは…
っぅ、うわああ!!」
がんっ
「ぃいってぇぇぇぇ!!」
「あ…」
どうにも耐えられなくなり、とりあえず逃げ出そうと思わず自分の足を蹴りあげてしまった。
運良く…いや悪く、蹴り上がった先は赤也の…な。
「
っなにするんスかぁ…!」
「い、いや、あのその、なんというか、わざとじゃねぇよ…?」
「わざとだったら先輩でも殴りますからね…っ!」
「う…わ、悪ィ……だって赤也が変なことばっかすっから…」
二人して向かい合って座り、じっと見てくる赤也の視線に堪えられず下を向いて話す。
そうだ、俺は悪くない。
全部赤也が悪ィんだっ!
「むー…先輩が可愛いから…それに気持ちよさそーだったし」
「き、気持ちよくなんかっ…!」
「なかったの?」
俺の気持ちなんて見透かすように妖しい笑みで問いかけてくる。
もうやだこんなやつ!
こんな変態なんて、
こんな生意気な奴なんて、
「
っ赤也のばかぁっ!!!!」
力の限り殴ってしまおうか。
調
子乗んなよ!
(ちょ、マジで痛いんスけど!!泣)
(うっせぇ反省しろぃっ)
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