4 | ナノ


「ねぇ、先輩。誤解だよ…」

「は…?」

「嫌いだなんて、言わないで…」

「ちょ、待てよ意味わかんねーから、つーかまず離せって」

「やだ、離さない」


だって離したら
先輩すぐいなくなるでしょ?
離してなんかあげない


自然と抱き締める手に力が入って腕の中で先輩が大人しくなった。


「…っ赤也は、俺が…嫌いになったんだろぃ…?」


二人で静かに落ち着いた頃、震える声で先輩が呟いた。


「それが誤解なんです!!俺が先輩のこと嫌いになんて、なるわけないじゃないっスか!」

「そ、そんなのわかんねーじゃんお前急に冷たくなるしっ、話すぐ終わらして帰ろうとするしっ…」

「それは…なんていうかその…」


押してダメなら引いてみろな感じで素っ気なくした…ってのは言っていいんだろうか…言ったらもしかして殴られるかな。それは嫌だなぁ…


「…っなんで俺から離れようとすんだよ…」

「へ……え?」

「俺に冷たくすんの禁止…っ!抱き付かないとか避けるとか、そーゆーのも全部禁止」

「…ええええ!?せ、先輩!?どうしちゃったの?ね、熱でもある?」


おかしいおかしい!
素でこんなに可愛いこと言う先輩なんて滅多に見られないってか今まで一切なかった!


…少しは効果あった?


「ね、熱なんかねーし…」

「…先輩耳赤いよ?」

「やっぱ熱ある」

「っ…かわいすぎでしょ…!ね、向き変えていい?」

「やだ無理」

「別に無理じゃないんスけどー…えいっ!」


後ろから抱き締めてたのを一回離し、くるりと先輩をこっちに向かせて向かい合わせにする。


嫌がってたけど関係ない
それに先輩の"嫌"なんて
口だけだって分かったし?


「うわっ!?…やだっつったじゃん…っ」

「本心じゃないデショ」

「っ…」

「丸井先輩、好き、大好き!」

「…俺も、す…き」


照れながらちゃんと言ってくれた先輩は世界一かわいいと思った。


「先輩、俺ね、丸井先輩がホントに俺のこと好きなのかなーって思ってちょっと行動控えたんです」

「……なんの意味があんの」

「俺が急に素っ気なくなったら先輩がちょっとでも気にしてくれるかなーって、思って…」

「っ!…うわ俺…そっか…うわぁぁぁ…」

「え、え?何々!?なんで納得してんスか!?」

「お、お前には教えてやんねー!!」

「ええっ!!」


すっげー気になんだけど…
まぁいいや、
いつか聞き出してあげますよ


いつもドライな先輩へ
ほんの少しだけど、いつもの仕返しになったでしょうか?


(ばーか、お前のは悪戯って言うんだよ)


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